卵黄と卵白はあえて分ける。あたらしい卵かけごはんの提案

前回は、野菜の煮物のレシピを紹介しました。今回は卵のこととお肉の煮物について。卵かけごはんは、卵黄と卵白をわけて食べ始めることで3回楽しめる新提案の形です。また、肉の煮物については、野菜のときと同様に素材の「霜降り」をするとぐっとおいしくなります。他にも「これをやると必ずおいしくなる」ポイントがありますよ。5月16日発売『おいしいごはんの勘どころ』(学研プラス)より特別連載。

卵は熱の加え方ひとつで味わいがまるで変わります

 本日お伝えしたいのが卵のこと。卵は、加熱の温度と時間によって味わいがまったく異なる素材です。ぼくはトマトとにらを入れたスクランブルエッグが好きで、これを作るときは火を入れすぎないように気をつけます。ふんわりとろっとの感じを、おいしく味わいたいから。今日は、卵そのものの味を味わえる卵かけごはんの作り方と、そのとろとろのスクランブルエッグの作り方を紹介します。

野崎流、究極の卵かけごはん

熱々の炊きたてごはんで食べる卵かけごはんのおいしさは格別です。熱で卵がふわっとする、あの瞬間をごはん粒とともにかき込む。そして、僕ならごはんの量にもこだわりたいですね。卵とごはんのバランスを考えるなら少し大きめの茶碗(150g ほど入るくらい)に卵1個がちょうどいい。 卵は高級卵のほうが美味しいと思われるかもしれませんが、じつは卵の味ってそんなにわからないものなんです。しょうゆや薬味を加えたらますます味はわかりにくくなっていくわけで、ふつうにスーパーで売られているもので十分です。もちろん、おいしい卵は、それなりにおいしですけども。

◆作り方

ごはんを真ん中に土手状によそい、しょうゆを少しかけます。ここ、ポイントです。あらかじめしょうゆをごはんにかけておくことで、適度に卵と混じり合います。そして卵黄と卵白を左右に分けて入れ、刻み長ねぎ、のり、おろししょうがをのせてできあがり。白身、黄身それぞれで食べた後に、最後は合わせて食べる。3つの卵の味が楽しめる食べ方です。

にらのスクランブルエッグ

卵は冷蔵庫から出し、常温に戻したものを使うとふんわりと仕上がります。そしてだしではなく、水を加えて卵本来の味を楽しみましょう。卵3個に対して水50mlが目安です。にらを加えると風味がついておいしくなります。卵を適当にほぐし混ぜたらフライパンに流しいれ、へらを使って大きく混ぜ、まとまらないうちに火を止めます。一瞬を逃すと、あっという間に卵がかたまってしまいます。火を通しすぎず、とろりと仕上げてください。

材料/卵…3個、にら…5本、A(水…50ml、薄口しょうゆ…大さじ1弱、こしょう…少量)、サラダ油…適量

◆作り方

1. にらを5mm長さに切る。

2. 卵を割りほぐし、Aと1を混ぜる。

3. フライパンに油を熱し、いったん火から外して熱を軽く取り、2を入れて再び火にかける。中火で、大きくへらをまわし7分、火が通ったら火を止め、余熱で半熟状に仕上げ、器に盛る。

煮物の肉がスカスカにならないために

 卵の美味しい食べ方と一緒にお伝えしたいのが、肉を煮るときの注意点です。肉じゃがや筑前煮など、具材の種類が多い煮物は、それぞれの素材のピークを見極めるのが難しいですね。特に肉は、タイミングを間違えると、出来上がりがパサパサ、スカスカになってしまうことも。それは、肉のうまみをだすために、最初に入れて煮てしまっているからかもしれません。おいしく作るには、火の通りにくいものから煮ていけばいいだけのこと。

 肉と野菜では火が通る時間が違うので、同じ時間だけ加熱したら、野菜に火が通る頃には肉には火が入りすぎてしまいます。だから、素材のピークを考えてできあがりでそろうよう、肉はあとから入れるのが正解です。

 では、具体的に肉が入った煮物を作るときの「勘どころ」を紹介しましょう。

下ごしらえ

□肉の霜降りをする

野菜と同様に、肉を煮るときも霜降りはしてほしいひと手間です。特に肉の場合、余計な脂肪やアクが取り除かれるので、やるのとやらないとでは大違いです。

薄切り肉は箸でふり洗いするように熱湯にくぐらせ、表面が白くなったら引き上げて水けをきります。余分な脂肪、アク、よごれが取り除かれます。

ひき肉は目の細かいざるに入れて箸でほぐしながらさっと熱湯にくぐらせ、水っぽくならないようにしっかり水けをきります。

鶏のもも肉やむね肉は、熱湯につけて表面が白くなったら引き上げます。皮つきの場合は冷水にとって洗いましょう、脂肪やアク、臭みがとれます。

煮る

□水+調味料で煮る

野菜の時と同様です。肉を入れる場合は特に、だしを入れなくとも肉のうまみを存分に出せればおいしくなります。

□落しぶたをする

こちらも、野菜の時と同様です。鍋の中で煮汁を対流させるために、ちょっと重めの落しぶたを使いましょう。

仕上げ

□肉は最後に入れる

火を通し過ぎるとかたくなるため、他の素材の状況と合わせて、仕上がりから逆算して加えます。

それでは、レシピを紹介します。

【肉じゃが】本当に必要なことだけがわかるレシピ

炒めずに作らずに作っているためさっぱりと食べられる肉じゃがです。油で炒めるレシピもありますが、油が入るとコクが出て、調味料を多めに入れないと味が感じにくくなってしまうんです。コクがあって味が濃いめだと、ひと口目に食べて「おいしい!」とは感じますが、食べているうちに飽きてしまいます。この肉じゃがはさっぱりと飽きがこない味ですよ。

材料/豚バラ薄切り肉…100g、じゃがいも…200g、にんじん…100g、玉ねぎ…50g、しらたき…50g、長ねぎの青い部分…1~2本分、A(水・酒…各200ml、しょうゆ・みりん…各50ml、砂糖…大さじ2)、昆布…5cm

◆作り方

1. じゃがいも、にんじんは一口大に切る。玉ねぎは皮をむいてくし形に切る。しらたきは適当な長さに切る。全部を鍋に入れて材料が浸る程度の水(分量外)を加え、ひと煮立ちしたらざるにあげて水けをきる。鍋に残っている湯に、ひと口大に切った豚肉を入れ、熱湯にくぐらせ霜降りをする。

(勘どころ1/材料を霜降りにする)

2. 別の鍋に1の野菜、長ねぎの青い部分、A、昆布を入れる。落しぶたをして中火で煮る。

(勘どころ2/水+調味料で煮る)

(勘どころ3/落としぶたをする)

3. 煮汁が半分くらいになったら豚肉を入れ、中火で汁を煮つめていく。

(勘どころ4/肉は最後に入れる)

次回は、これからの季節にぴったりなあえものやおひたしについて紹介します。

(写真/三東サイ)

★毎週・水曜更新! 次回は6月19日を予定

和食の料理人が伝えたい「おいしい」のための効率レシピ

この連載について

初回を読む
おいしいごはんの勘どころ【和食レシピ】

野崎洋光

料理にはそれぞれ「勘どころ」となるポイントがある。 レシピどおりに作らなくても、その「勘どころ」さえおさえていれば素材がいきておいしくなるし、 失敗もぐっと少なくなる。レシピに縛られないから、料理が自分のものになって自由...もっと読む

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コメント

rosebourbon 記事の内容が濃い。ニラのスクランブルエッグは私も好きです。 5日前 replyretweetfavorite