番外編】アイドルとの共通点は「いつも誰かのために踊ること」踊り子・中村インディアの野望

今回は番外編。主催公演『Secret Garden Ⅴ』を目前に控えた踊り子・中村インディアさんからお話を伺います。アイドルオーディションである「ミスiD2014」で、踊り子とアイドルの共通点を語った中村さんと、その審査員として参加し「時代が違えば国の運命を狂わせる」と評した竹中夏海さん、いったいどんな話になるのでしょうか?

時代が違えば国の運命を狂わせる踊り子・中村インディアとの出会い

インディアとの出会いは6年前の「ミスiD2014」オーディション。講談社主催のミスコンに私は審査員として初参加していたのですが、その中でも序盤から特に女性審査員たちの心を掴んで離さなかった候補者のひとりが、現役でベリーダンスをしている中村インディアでした。個性的な参加者が多いとはいえ、曲がりなりにも一応アイドルオーディションを謳って開催されているこの場に、なぜこんな妖艶な踊り子が……?

私はその疑問を最終審査で彼女に直接投げかけてみたのです。するとインディアから返ってきた答えはこうでした。「ダンサーと踊り子では全く別物だと私は思ってる。踊り子は自身の表現よりも、いつも誰かのために踊っています。だからアイドルと共通点があるのではないかと思った。」

あぁこういう人が、時代が違えば国の運命を狂わせる踊り子になるのだろうな。「宇宙人がもし地球に降り立った時、最初に意思疎通できるのは踊れる人間だろう」って誰かが言ってた。宇宙人はきっとインディアを選ぶんだろう。

この年は、数年後に“神スイング”でスポーツ番組に引っ張りだこになる稲村亜美や、のちにラップデュオ・chelmicoを組んでデビューすることになるレイチェルなど、「まだ何者でもないけど何にでもなれそう」な予感のビシバシする女の子たちが、ミスiD2014を受賞しました。そのほかに各審査員が個別に賞を贈る枠が設けられているのですが、あまりにも複数人が同時に「この人へ」と選んだために、急遽『明日のアイドルの話をしよう 賞』というこの年のミスiDのキャッチコピーを冠にした特別賞が新設されました。それを受賞した人こそ中村インディアだったのです。インディアこの時のこと覚えてるかなぁ。たぶん、忘れてんだろうなー。

そんな中村インディアが様々なジャンルのパフォーマーと異世界を創り出す舞劇『Secret Garden』という作品シリーズをご存知でしょうか。ベリーダンサー、アイドル、ドラァグクイーン、コンテンポラリーダンサー、シンガーソングライターなど、ジャンルの垣根を越えたあらゆる“いいオンナ”たちが、インディアの思い付いたごっこ遊びに本気で付き合う、今まで見たこともないショーです。

実はこれまでにミスiD出身者もたくさん出演してきました。「誰かのために踊っているからアイドルと踊り子は似ている」、そう話していたインディアのステージ作りとは? 6月29日にシリーズ第五弾の上演を控えた彼女に聞いてみました。

今回で5回目を数える中村インディア主催公演『Secret Garden』

竹中夏海(以下、竹中) 『Secret Garden』を始めようとしたきっかけはなんだっけ?

中村インディア(以下、インディア) 三宅純(パリを拠点に活動する音楽プロデューサー・トランペット奏者)さんのアルバム『Stolen by strangers』を聴いた時に、各曲が独立しながらもアルバム全体に共通したテーマを感じて。特定の物語があるわけじゃないけど、みんなで想像力を働かせてひとつの架空の世界を作って、その中に一瞬だけ生きるようなショーがやりたいって思ったのが最初かな。ベリーダンスはバレエみたいに全幕公演って形がないんだけど、やりたいなって。

竹中 『Secret Garden』って今回でもう5作品目になるけど、扱う物語は毎回全く違うよね。このタイトルを使い続けてるのには何か理由があるの?

インディア 第1作目が「庭」をテーマにしてたからそのまま使ってる(笑)。「想像上の世界の住人にみんなでなろう」っていう“ごっこ遊び”を『Secret Garden』って呼んでるだけ。

竹中 「いつか目黒の庭園美術館で公演したいから」って言ってなかった?

インディア そうだ。忘れてた!

竹中 うそでしょ……(笑)。

インディア 最初の頃は、庭とか自然の中とかでできたらより、ごっこ遊びの強度が高まるんじゃないかなって思ってた。でも今は照明とかの偉大さも感じてるから室内でもいいんだけど。

竹中 なるほどね。その第1作目が、2014年のM代官山での公演だっけ。ミスiD出身の寺田御子ちゃんや木村仁美ちゃんも出演してたね。そこに私は当時教え子だった玉井杏奈(当時 PASSPO☆)を連れて行ったな。確か体調が絶不調だったんだけど、どうしても杏奈をインディアに出会わせなきゃいけいない、という謎の使命感に駆られて(笑)。その次が……?

左から中村インディア、寺田御子、木村仁美

インディア 2015年の青山 月見ル君思フで「七つの大罪」。ここから杏ちゃんはもうずっと出てる。それからポールダンサーの絹靴下のピッピさん、ドラァグクイーンのジャスミンさんも。

左から中村インディア、玉井杏奈

竹中 それと同じくミスiD出身の多屋来夢ちゃん。


多屋来夢

インディア 来夢ちゃんは「怠惰」役。

竹中 ゲームだけする役ね。あぁいう絶世の美女が一切踊らずにだらんと舞台上にいるってのは、なんか迫力があって良かったよね。そういうごった煮なところが『Secret Garden』の面白さでもあるし、それは初期からずっと変わらないね。その次の作品が……

インディア 日暮里サニーホールで「秘密の花園」。

竹中 これもまたミスiD出身の水野しずちゃんや「私。(現 riko)」ちゃんが出演していて。ぷちぱすぽ☆って10代のアイドルグループや私も少し出た。


左から中村インディア、水野しず


私。(現riko)

インディア そうそう、それからドラァグクイーンのオナン・スペルマーメイドさん。ここまでの作品は具体的な原作っていうのはなくって。

竹中 そっか、「七つの大罪」も聖書のをモチーフにしてるだけで、細かい筋書きがあるわけではないのか。

インディア うん。去年の下北沢タウンホールで演った「オンディーヌ」が初めての原作もの。

竹中 そして今年が「源氏物語」。

インディア でも今回は物語は全然追ってないの。だってそもそも光源氏が出てこないし。

竹中 そっか。話の一部をやるわけでもなく?

インディア うん。どこかを切り取るというよりかは、出てくる女の人の内面世界を表現する感じ。

オリジナル楽曲を作るようになった本気の”ごっこ遊び”
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令和が始まったのでアイドルダンス半世紀を覗き込むプロジェクト B面 対談

竹中夏海

ときにアイドルの魅力を引き出し、ときに魅力そのものにもなった「アイドルダンス」をまとめるプロジェクト。その対談編です。現在活躍している振付師のみなさんから、竹中夏海さんが「アイドルダンス」にまつわる様々な証言を集めていきます。

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