忙しい時こそ、ちゃんとふざける

10年間、山小屋で働いていた小屋ガールの吉玉サキさん。山小屋の繁忙期は、”癒し”とは無縁の息つく間も無い忙しさ。そんな中で吉玉さんが見つけた、心身共にギリギリの日々を乗り切るコツとはどのようなものでしょうか?

山小屋の最盛期は目の回る忙しさだ。

特に忙しい日は、早番なら早朝(深夜?)3時から夜9時まで仕事。もちろん途中で何度か休憩があるけど、休憩中に寝ようとしても、仕事の段取りが気になって眠れなかったりする。

また、食事もゆっくりとれない。昼食がすごく遅くなることもあれば、厨房の隅で急いでかきこむことも。最盛期は心身ともにヘトヘトだ。

だけど、嫌なことばかりでもなくて、忙しいこそのやりがいや楽しさもある。

最盛期が始まると「うわー、始まっちゃったよ」と思うけど、終わるとちょっと寂しかった。


最盛期は忙しすぎて心身ともにギリギリ

昔、朝4時から夜の9時までの間に、休憩が20分しか取れなかったことがある。

もちろん、毎日こんなブラックな働き方をしているわけではない。いつもは朝と午後に休憩があるのだけど、その日は忙しすぎて休憩を回せなかったのだ。

予約の時点で激混みすることはわかっていたので(予約数が収容人数に達してからは予約を断っていたが、断っても来る方や予約なしで来る方もたくさんいる)、あらかじめOBにその日限りバイトで入ってもらったり、準備はしていた。

当日も、予備の布団を廊下の隅に出しておいたり、食事の仕込を大量にしておいたり、準備は万端。

しかし、お客様は次から次へとやってくる。ランチ営業のオーダーがどんどん入り、注文を受けて会計をする人も、作る人も、息をつく暇がない。やっとランチ営業の時間が終わったと思えば、今度は宿泊受付に長蛇の列。その間、売店でドリンクやお土産を求める人も途切れない。そんなこんなで、ひとり20分しか休憩できないまま、夕食の準備に入った。

長時間労働によりだんだん頭がクラクラしてきて、夕食出し(お客様に夕食を提供すること)の途中、意識が飛んでいた。気絶したわけではなく、意識がないような状態のまま仕事をしていたのだ。

無事にその日を乗り越えたが、やっぱり記憶は曖昧。本当に忙しいと、何がなんだかわからなくなると知った。

ここまで忙しい日は稀だけど、最盛期は心身ともにギリギリだった。

私は体力がない上にメンタルも脆弱なので、弱るとものすごく愚痴っぽくなってしまう。昔はそういうとき、夫に弱音を吐いていた。しかし、夫婦で山小屋を任されてからは彼も精神的に余裕がなく、夫婦喧嘩が多くなった。

だから、他のスタッフに愚痴を聞いてもらう。もちろん、私も相手の愚痴は聞く。

けれど、仲がいい後輩ほど私に厳しい。このエッセイにもたびたび登場する後輩の芦田君は、私が愚痴を言うと不機嫌になり、「またですか」「もうその話やめましょ」と言う。

そうなると私も、自分を棚に上げて「聞いてくれてもいいじゃん! 器が小さいな!」と逆ギレしてしまう。

最盛期はそのくらい、精神的に余裕がなかった。


忙しさを改善する取り組みはしてるものの……

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小屋ガール通信

吉玉サキ

第2回cakesクリエイターコンテスト受賞作! 新卒で入った会社を数ヶ月で辞めてニート状態になり、自分のことを「社会不適合者」と思っていた23歳の女性が向かった新天地は山小屋のアルバイト。それまで一度も本格的な登山をしたことのなかった...もっと読む

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コメント

masuP9 わかりがすぎて語彙が失われる 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

YWsIN8A718fC80e "忙しさって、加速装置みたいなものだと思う。気持ちが整っているときに忙しくなると、歯車… https://t.co/0eTIP1C1sh 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

tanno0809 一般人なので最高に面白いギャグも言えないしなんならスベるし、それでも一瞬つまんないギャグを挟めるお茶目さとか人間としてやっぱ大切ですな。 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

jun_ikematsu 現場ムードの大事さ 沁みる 読むのおススメ😊 約2ヶ月前 replyretweetfavorite