平井堅の突飛さをどう受け止めるか

今回の「ワダアキ考」で取り上げるのは平井堅。活動歴も24年を数えベテランの域に入っていますが、それでも一風変わったPVを発表したりと、意欲的に活動しています。そんな平井堅を、武田砂鉄さんはどのようにみているのでしょうか?

飯尾和樹「爆笑までいかない感じがイイ」

ずん・飯尾和樹の名著に『飯尾和樹の暮しの手帖 現実逃避手帖』があり、そこには、飯尾のネタである、現実から逃避するフレーズ「あ~あ~ なにかしらワールドクラスのモノ、持ってたらなぁ~」「あ~あ~ 持ってる服が全部、来年流行らね~かなぁ~」などが並んでいる。自分からは何もせずに、誰かや時代や空気が何とかしてくれるのではないかと願ってみる。この手の願望って、大人になると、なかなか外に出しにくい。ギャグとはいえ、飯尾和樹の言葉はその可能性を大切に育ててくれる。

『おしゃれイズム』を観ていたら、ゲストの平井堅が、会いたい人として飯尾和樹を挙げ、スタジオに登場した飯尾のネタについて、「爆笑までいかない感じがイイ」と評していた。その表現に頷く。「10」が爆笑、「0」がダンマリだとすると、飯尾への反応は「6」や「7」くらいを浮遊している。大御所芸人でない限り、バラエティ番組で放たれたネタはその場を仕切る誰かに「今のは10!」「今のは0!」とジャッジされることが多い。飯尾のそれも「10」か「0」か、誰かに判断してもらうことで笑いが定まっていく。本当は、「ウケる」と「サムい」の間にグラデーションが欲しいのだが、せっかくの「6」「7」が、そのまま浮遊することが少ない。本人にとっても「6」「7」が「10」になるのは嬉しいことに違いないが、そんなに認められなくてもいいのに、とファン心理を呟いてしまう。

「6」「7」あたりで浮遊している平井堅

平井堅が飯尾和樹に放った「爆笑までいかない感じ」という表現って、そのまま平井堅を受け止めるのに使えるのではないか。彼の歌唱力やキャリアについて、まだまだ半端だとケチをつけるはずがない。ただし、このところ目立つ、平井堅の妙な衣装やPVについて、あれは一体「0」なのか「10」なのか、評価を下せずに宙ぶらりんにしているもどかしさがある。だが、別にいずれかに決める必要はないのだ。「爆笑までいかない感じ」、つまり、「6」「7」あたりで浮遊したままでいいのである。

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往復書簡 無目的な思索の応答

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2019-03-20

この連載について

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

teacup111flower https://t.co/GrDngSgN8C 5ヶ月前 replyretweetfavorite

keizin0309 くそぉ…。この方の論評は基本的に好きじゃないけれど今回はガッテンさせられてしまった。くそぉ…悔しい 5ヶ月前 replyretweetfavorite

kareigohan42 綾瀬はるかのパワーワードが全部もってくんですがww っていう風に内容にあわせて構成してそうで怖い 「POP STAR」のPVを見た綾瀬はるかから面と向かって「気持ち悪くて嫌い!」と言われた https://t.co/cYcZpXIhYy 5ヶ月前 replyretweetfavorite

kenbaka4ever https://t.co/AYVKt6BIlY 5ヶ月前 replyretweetfavorite