新幹線vs飛行機 十番勝負

駅・空港対決】関空で露呈した民営化のわな 災害対応と集客のジレンマ

空港民営化に参加するメンバーは稼ぐことには長けているが、災害対応はなおざりにしがちだ。駅と空港は営利と公共性のはざまで、利用者ファーストを貫くことができるのか。

 「関空の大混乱の原因は、天災ではなく人災だ」。ある航空会社幹部は強い口調でこう言い切る。9月4日、台風21号が列島を襲った。海上にある関西国際空港は高潮により冠水の被害に見舞われた。

 空港島と本土をつなぐ連絡橋にはタンカーが衝突し、橋が閉鎖されて8000人もの客が空港内に閉じ込められた。前出の幹部は「こうした事態を招いたのは、空港運営会社の関西エアポートの経営陣が危機対応を甘く見ていたからだ」と非難する。

 例えば初動対応力の低さだ。当初は閉じ込められた旅客・従業員数を3000人と少なく見積もっていた。その結果、手配したバスの台数が足りずに大勢の人が立ち往生してしまった。

 関空は2016年に民営化した。空港民営化は国や自治体に所有権を残したまま運営権を売却することで、コンセッションともいう。その狙いは民間の知恵と資金を生かして、「稼ぐ空港」に生まれ変わることにある。関空には1兆円以上の負債が重くのしかかっていた。これを解消するため関空と伊丹空港を一体運営する大改革(後に神戸空港が追加)が民営化のゴールである。

 このプロジェクトに商機を見いだし、44年間の運営権を年間490億円、総額2兆2000億円で落札したのが、オリックスと仏ヴァンシ連合である。

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