暴力なのか、風習なのか
わたしもケニアで生活していた時に、同じような場面に直面したことがあります。
わたしは日本人の経営するNGO(非政府組織)にいたことがあり、孤児院で孤児たちと生活していました。そこには、ケニア人のマネージャーがいました。彼は40歳くらいの男性で、妻と息子の3人家族。彼は大学も出ていて、ケニアの中では、いわゆる知識層にあたる人でした。
ある日、彼と話しているときに、家庭内暴力の話が話題に上がりました。彼はわたしに、「僕は妻を殴るよ」と言いました。わたしには紳士的な彼がそんなことをするなんて信じられませんでした。ケニアでは、夫の暴力に耐えきれず妻が子どもを連れて逃げ出した、なんて話をよく聞きました。でも、そういう人の多くはスラムで暮らしている男性など、きちんと教育を受けてこられなかった男性だと思っていました。だから、いわゆる知識層、中流階級の彼がそんなことをしていることに、わたしは強い違和感を覚えました。
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