1の価値を
100にしろ
新しいことへの挑戦を我慢して、お金にも時間にも余力を残しておく。それがリスクヘッジになるという思考を、僕は「貯金型思考」と呼んでいる。
重ねて言うが、貯金は無意味だ。
思考にまで貯金を持ちこんでいたら、リスクヘッジどころか、それはむしろ損につながりかねない。安全策を採ったつもりが、逆に危ない道を行くことになる。
大事なのは、貯めて守るという発想ではない。投資の発想だ。
サラリーマンでも、貯金型思考を捨て、投資型思考へスライドしよう。
投資型思考になると、コストパフォーマンスの意識が生まれる。時間対効果、費用対効果がよくなければ、投資は成り立たない。
コスパを、どのようにして最適化させていくかを、自分の頭で考えるようになる。さらにはリスクを引き受ける勇気も鍛えられる。
できるだけたくさん貯めておきたい、という思考の人には見ることのできない、新しい風景が目の前に開けてくるのだ。
例えば手持ちのお金が、1万円だとする。「この1万円は使わず、いざというときの保険で置いておいて、毎月3万円ずつ貯金していこう」というのは、貯金型思考だ。
堅実ではあるが、1万円の役割をその金額のまま押しとどめる。失うリスクは少ないが、増えていくスピードは鈍い。
それは「いざというとき」が訪れたとき、本当に強いのだろうか? また、「いざというとき」が去った後、どうなるのだろうか?
投資型思考の人は、「この1万円を何に使えば、100万円にできるだろう?」と考える。1万円を最大化して、お金の役割を広げていこうという思考だ。
投資型思考は、現状維持を選ばない。先を見すえた、利殖のための行動を取って、「いざというとき」に対処できる資産を形成する。
そちらの方が、確実なリスクヘッジだ。
続けてたとえを出そう。
1万円で買ったリンゴの木が、100個の実をつけた。このリンゴをどのように売れば、リンゴの価値を最大化できるだろう? 模範解答のひとつは、リンゴ1個を100円以上で売ることだ。200円で売って100個売り切れば、売り上げは2万円。粗利は1万円と計算できる。
だが収穫の手間や農薬代、人件費に課税など、事業の維持経費はかさんでいる。1個200円ぐらいでは、コスパが悪すぎるだろう。
解決法は、リンゴ1個の単価をより高く上げればいい。しかし1個数百円ものリンゴを、たくさん売るのは難しい。市場には安くて美味しいリンゴが、いくらでも売られているからだ。
投資型思考なら、このように考える。
リンゴをアイドルに摘んでもらい、手書きのメッセージを添えて売ろう!
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