インタビュー:堀江貴文】金を使え。冬に備えないキリギリスであれ

本日(6/20)発売! 堀江貴文『あり金は全部使え 貯めるバカほど貧しくなる』の刊行にあてて、堀江氏本人から本書のエッセンスを聞き出してきた。お金を使えば使うほど、人生は豊かになり、運や成功、人脈、幸福感を高められるという。資産の多寡は問題ではない。大切なのは「好きなこと、やりたいことに、ひたすらに熱中すること」。そしてそこにありったけのお金を投下してのめり込むことだという。その真意とは。

お金を貯める安心は「貯金信仰」のあらわれ

 子どもの頃、僕たちはイソップ物語の「アリとキリギリス」を聞かされた。 夏のあいだにコツコツ働き、充分な蓄えを準備したアリが生き延び、蓄えずに遊んでいたキリギリスは、飢え死にする。そういう戒めを込めた物語だ。

 冬になって食べ物を乞いにきたキリギリスを、アリが「見たことか」と門前で追い払う。それを親や教師が、まるで絶対的な善であるかのように、子どもたちに擦り込む。
 でも、僕には子どもの頃から疑問だった。

 アリたちは、キリギリスを見捨てて、良かったのだろうか?

 将来のことなど考えずに、「いま」を思い切り楽しむ人生。 それは、死んでも自業自得と言われるような、いけない選択だったのか?
 アリたちだって、キリギリスの音楽を楽しんでいたのではないか ?
 「アリとキリギリス」は、僕たちが長く洗脳されている、「貯金信仰」の象徴的な話だ。
  額に汗して働く人生が最善で、働かなかった者は飢えても文句は言えないのだ、と説いているが、果たしてそれは正論だろうか。
 大昔のように、有限の食糧に頼っている生活の設計ならば、この教訓は一理あるかもしれない。 しかし、いまはどうだろう。 キリギリスのように「好きなときに好きなだけ食べて」も、まったく困らなくなっている。
 もはや食料は、生き延びるための重要な基準ではないのだ。

 物質的に豊かになったこの時代、驚きや感動、娯楽、快適さなどの付加価値に対価が支払われるようになった。 となれば、現代社会において価値をもって求められるのは、アリの生真面目さよりも、キリギリスの「いまを謳歌する生き方」だ。
  こつこつ働いて得た財産を、貯めていれば大丈夫。その考えは、中央集権国家が推し進めた「貯金信仰」にとらわれている証拠だ。 生きていくために、蓄えは必須ではない。 それどころかむしろ、人生をつまらなくさせる。
 備えてばかりの人生を送るアリたちが、音楽や踊りの上手い楽しい友人をも失って、その後も幸せに生きられているとは、僕には思えない。

 積極的に蓄財を使って、遊びや娯楽を楽しんだ方が、幸せに決まっているのだ。
 文明やテクノロジーが進み、ここ十数年ほどの間にはシェアエコノミーやブロックチェーンを使った仮想通貨など、お金の在り方を考えさせられるツールが浸透してきた。 テクノロジーによって、「貯金信仰」の幻想が暴かれつつある。 誰もが蓄えをしない生き方を取り戻せる、絶好のチャンスだ。

貯金額を増やすより体験を積み重ねることが大事

 僕はいろんなところで、お金は信用を数値化したものだと述べてきた。そして、その信用を裏づけるのは、使うことだ。
 お金を貯めているだけで、信用は裏づけされない。思うままに使うことで、人としての価値が膨らみ、新たな生産の循環が生まれるのだ。
 お金は信用を数値化した道具に過ぎない。だが、使えば使うほど、信用の裏づけを強くする、公平で便利な道具でもある。
 貯めているだけではいけない。 お金は本来、使うことが目的の道具だ。

 僕は大学生になって以降、貯金は一切やめた。 一生懸命働き、まとまったお金を持ったら、仲間と遊びに行き、旅行へ出かけ、 美味しいものを食べ、見聞を広めるために使い尽くした。
 もともと貯金が好きではないのもあるけれど、活きない貯金を守るより、活きたお金を使った方が、絶対に楽しくて幸せだと信じていた。
 使うだけ使いまくって、正しかったと思う。
 お金を使って得た経験は、社会に出てから、いろんな場面で役に立った。コミュニケーションのレベルも、出会う人のランクも高くなった。 貯めていれば、いまごろ40 代のビジネスマンのなかでは指折りの富豪になっていたかもしれない。でも僕にとっては、貯金額を増やすより、そのときにしか得られない出会い、興奮や、体験を積み重ねることの方が、はるかに大事だった。
  僕の得てきた体験は、いま同じ額のお金を投じたところで決して得ることはできない。
貯金は、目先の不安を多少取り除くのかもしれない。しかし時間を買い戻すことはできないのだ。

 何かに取り憑かれたように、銀行にお金を貯めている老人とか、貯金マニアの主婦などの話を聞くと、不思議でならない。 大してお金持ちでもないのに、巨大な資産を持っている銀行に、預金という形でお金を「貸し」まくるのが、なぜ平気なのだろうか ?
 そういう人に限って、借金は絶対ダメ !  とか、お金は大事だなどと主張しがちだ。 言っていることと、やっていることが、ちぐはぐだ。 銀行に、なけなしのお金を貸すことに、何の疑問も持っていない人に、お金は大事などと言える資格はないと思う。

 問題の根幹は、何世紀にもわたり続いている、信用に関するおかしな逆転現象だ。 「貯めたお金は信じられるけど、他人は信じられない」という人が、すごく多いが、人の方が信用できるということが、なぜわからないのだろう。

 信用の順番を、勘違いしてはいけない。 いまという時間を楽しみ尽くし、お金の活力を信じて、好きなだけ使ってしまおう。そして、お金よりも価値のある、本来の信用を築くのだ。

貯金残高は失っている機会の総額

 多くの人たちがとらわれている「貯金信仰」を、少しでも解いてもらうために、僕は新刊『あり金は全部使え 貯めるバカほど貧しくなる』をまとめた。 お金儲けを目的とせず、 ただやりたいことに投資をしまくれば、素晴らしい成功と、かけがえのない幸福が得られる。声を大にして、そう伝えたい。

 証拠のひとつが、今年の5月に僕たちが成功させた観測ロケット 「MOMO」の打ち上げだ。
 着手した当初は、いろんなところから「民間企業でロケット打ち上げは無理」と言われた。事業は何度も、資金難に見舞われた。だが、僕は諦めず、さまざま手を尽くしてお金を集め、投資を続けた。 そして日本では民間史上初となる、打ち上げ成功の快挙を成し遂げた。

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あり金は全部使え 貯めるバカは貧しくなる

堀江貴文

堀江貴文の「お金哲学」ここに極まる! 決してお金儲けそのものを目的とせず、ただひたすらに、胸の高鳴に忠実に、「やりたいこと」をつづけることの大切さ。生きる意味とは何か。貯めるばかりの人生は、果たして幸福なものなのか。堀江氏が自ら実践し...もっと読む

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コメント

2016kyoko 日本ではなかなか理解できなかった事実と、お金のお話し。 深く納得。 @takapon_jp https://t.co/Ww3G20JOKB 5ヶ月前 replyretweetfavorite

kuro9006 この通りだと感じる。 5ヶ月前 replyretweetfavorite

enuresisho ↓これ読んで貯金が悪かどうかは置いといて、アリとキリギリスに出てくるアリたちはキリギリスの歌を聴いて心の栄養を補給できたからこそ夏の間の労働を乗り超えられたのではと思わんでもない https://t.co/uyUVBOKWZA 5ヶ月前 replyretweetfavorite

rugbyyujin |堀江貴文 @takapon_jp |あり金は全部使え 貯めるバカは貧しくなる 最後の文に全てが込められてる https://t.co/noA0kXokZf 5ヶ月前 replyretweetfavorite