新幹線vs飛行機 十番勝負

プロローグ】安全神話も4時間の壁も崩壊 新幹線vs飛行機 50年戦争の「その先」

永遠のライバルである陸の王者・新幹線と空の王者・飛行機。50年余りの長きにわたり、両者は移動の覇者の座を懸けてしのぎを削ってきた。

詳しくは後述するが、新幹線と飛行機が激戦を繰り広げてきたからこそ、乗り物やそれに付随するサービスが拡充され、日本の交通手段が独自の発展を遂げてきたことは紛れもない事実だ。

だが最近、この最強モビリティーの様子がおかしい。陸・空共に、安全神話が崩れつつあるのだ。


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 東海道新幹線では2015年に焼身自殺事件、今年は殺傷事件が発生。17年末には、新幹線「のぞみ」で台車トラブルも発覚した。台車製造元である川崎重工業幹部が、「運行を続けていれば大惨事につながっていたかもしれず、おわびのしようもない」と猛省するように、新幹線としては初の重大インシデントに認定された。

 本誌が実施した利用者アンケートでは、新幹線利用者の8割強が東海道新幹線を使っている(下図参照)。1日に47万人を運ぶ大動脈のセキュリティーや安全性の脆弱さに不信の念を抱く国民は少なくないだろう。


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 飛行機には災害が襲った。9月、台風21号による高潮の影響で関西国際空港が水浸しになった。関空連絡橋にタンカーが衝突し、海上空港の関空が孤立した。

 関空は空港民営化の先行事例だ。関空を運営する関西エアポートの初動対応が遅れたことで、8000人もの乗客が閉じ込められた。「これは天災ではなく人災だ」(航空会社幹部)という声が絶えない。

 災害大国ニッポンの交通手段を選ぶ基準として、「災害対応力」や「安全性・セキュリティーの徹底」が利用者から求められる時代になったことは間違いない。

切磋琢磨の競争で
悉く打ち破った世界の常識

 やられたらやり返す──。1964年に東海道新幹線が開業して以降、新幹線と飛行機は熾烈な戦いを繰り広げてきた(下図参照)。


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 その主戦場は、500キロメートルを移動する東京~大阪である。

 戦いの主軸は「時間と運賃」だった。飛行機のドル箱路線で、新幹線は鮮烈なデビューを飾った。開業翌年の65年に「ひかり」で3時間10分だった所要時間が、92年に300系「のぞみ」で2時間30分まで短縮した。驚異的な追い上げに、飛行機陣営が焦ったことは言うまでもない。

 しかし、飛行機は羽田空港発着の便数の増加により、所要時間が45分から現在の65分へ延びてしまった。

 そこで飛行機が仕掛けたのが、新幹線とは異なり、グローバル化を背景にしたサービス拡充や運賃施策だった。

 大量輸送と定時運行で攻める新幹線と、上質なサービスとマイルによる顧客囲い込み戦略で攻める飛行機。両者が切磋琢磨することで、「距離が400キロメートルを超えれば飛行機の勝ち」「所要時間が3時間以内ならば鉄道の勝ち」という世界の常識を悉く破った。

 今後、乗り物選びの基準はどう変わっていくのだろうか。

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週刊ダイヤモンド 2018年10/6号 [雑誌]

ダイヤモンド社,週刊ダイヤモンド編集部
ダイヤモンド社; 週刊版
2018-10-01

この連載について

新幹線vs飛行機 十番勝負

週刊ダイヤモンド

陸の王者・新幹線と空の王者・飛行機。東海道新幹線が開業して以降、両者は切磋琢磨しながらしのぎを削ってきた。利用者のライフスタイルの変化や技術革新により、かつては時間や運賃が中心だった「乗り物選びの基準」は多様化した。最近では、セキュリ...もっと読む

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