「手早く・おいしく」を実現するために
皆さんが忙しい現代、「手早くおいしく作りたい」というのが料理に対する本音でしょう。そのためには、素材のうまみで食べるのが一番。素材のおいしさを引き出す「勘どころ」を調理別に最小限にまとめました。ここがわかれば応用ができるようにもなります。「なぜ」この手順が必要なのかだけでもわかれば、料理がぐっとあなたに近づきますよ。
炒めものに必要不可欠なものとは
炒めるというのは加熱しながら油をかえし、素材のまわりに味をからませることです。なぜ味がからむかというと油があるからです。ドレッシングに油を使う理由はそこで、水だと野菜から流れ落ちてしまいます。油をまとわせることで調味料がからみやすくなり、これを加熱という方法で調理するのが炒めものです。
では、ベーシックな炒めものの工程ごとに、「必要なこと」だけを取り上げてみましょう。
下ごしらえ
□切った野菜は水にさらす
れんこんなど、でんぷん質が多い野菜は水にさすことで、炒めてもあまりべたつかなくなります。水けがあると油がはねるので、しっかり水けをきってから炒めてください。また、青菜類も調理前に水にひたして、水分を吸わせることで鮮度のいい状態に近づけることができます。歯ざわりや食感が違ってきますよ。
炒める
□フライパンの大きさを考える
フライパンの大きさに対しての食材の分量は注意が必要です。フライパンの大きさに対して、具材が多すぎると油がまわらずにうまく作れません。ちゃんと具材を混ぜ合わせられ、フライパンからあふれない程度の分量で作ってください。
□味つけは少し濃いめに
炒めものの場合、味つけが油で感じにくくなるので、少し濃いめのほうがおいしく感じられます。いつもより少し、調味料を多くしても大丈夫です。
□長ねぎの青い部分を入れて炒める
炒めもののレシピによっては、長ねぎを加えることでよりおいしくなります。長ねぎに熱が加わることでやさしい甘みがでて、味に奥ゆきをもたらします。調味料と一緒に入れることで、長ねぎの風味が素材に移ります。
仕上げ
□煮汁だけを煮つめ、野菜を戻し入れる
炒めものは煮汁が多いとまずくなります。具材に火が通ったら、一旦取り出し、強めの中火で煮汁だけ煮つめてください。取り出しておいた野菜を戻し、最後に味をしっかりからめます。
□仕上げにしょうゆを加える
しょうゆで味つけする場合は、しょうゆは最後に。しょうゆの香りは揮発性なので、味をつけるために途中で入れても、最後の仕上げでもう一度加え、風味を引き立たせたほうがおいしくなります。
「炒めもの」でも、炒める素材や、味つけによってどの「勘どころ」を使うかは違ってきます。上の勘どころを生かしたレシピを2つ紹介しましょう。いつもの味より、ひと味違ってきますよ。
れんこんのきんぴら
きんぴらは感じで書くと「金平」。由来の候補は江戸時代に名づけられたとされています。きんぴらは素材の歯ごたえを残すように炒めたいですね。また、ごぼうを使うのがベーシックですが、今回はれんこんを使って、歯ざわりが楽しい1品に。長ねぎの青い部分を途中で入れることで、甘みと風味がつき、仕上がりがひと味違います。
材料/れんこん…150g、にんじん…50g、A(酒、みりん…各60ml、しょうゆ…40ml、砂糖…大さじ2)、サラダ油…大さじ2、赤唐辛子(種を除く)…1~2本、長ねぎの青い部分…1~2本、煎り白ゴマ…大さじ1
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