タケハニヤスビコの叛乱
十年七月二十四日、天皇は朝廷に仕える官人たちに詔して言いました。
「民を導く根本は、教えて従わせることである。現在、天神(あまつかみ)地祇(くにつかみ)を崇拝して、災いは無くなった。しかし辺境の人々はなお新しい政策を受け入れようとしない。これはまだ君主の治政の徳に浴していないからだ。
そこで将軍を選んで四方に遣わし、我が教えを知らせなさい」
九月九日、天皇はオオビコ(大彦命)を北陸道に遣わし、タケヌナカワワケ(武渟川別)を東海道に遣わし、キビツヒコ(吉備津彦)を山陽道に遣わし、タニワノミチヌシ(丹波道主命)を山陰道に遣わしました。そして、
「もし教えを受け入れない者があれば、挙兵して討て」
と詔して、それぞれに印綬※1を授けて将軍※2にしました。