うつが再発する人、再発しない人の違いとは
前述の、私と一緒に「自分マニュアル」を作っている人たちを見ていると、明らかにうつが再発しにくい傾向があります。
多くの人たちが再発することなく、心理職の指導者や、職場で後輩を育成する立場に育っていきます。
その一方で、薬だけでうつを治した人たちは再発しやすいともいわれています。おそらく、みなさんの中にもそういうイメージがあると思います。
両者の一番の違いは何かというと、「考え方や物事のとらえ方が変わったか、変わっていないか」という点だと思います。そこを変えることができた人は、次に壁にぶつかっても再びうつにはなりにくいのです。
うつを脳の病気として捉え、不足しているセロトニンやノルアドレナリンなどを補充するアプローチが間違っているとはいいません。でも、そういう部分だけ治しても、もともとの考え方のスタイルや物事にぶつかったときのとらえ方を変えなければ、同じことの繰り返しになります。
なぜなら、うつになる人は元々頭がいいのです。
だから、次の壁にぶつかったとき、またあれこれ考えます。それだけで自分のエネルギーを使い切って燃え尽きてしまうわけです。
そうならないためにも、「今、自分にはどういう心のクセがあって、どういうふうに乗り越えたらうまくいって、どういう方法はよくなかった」という情報を蓄積していくことが役立つのです。
そういうやり方をすると、「そうか、このときはこうだった」と、過去の経験と照らし合わせることができます。
そして次に何かあったときには、「あのときは実験的にこうやってみたけどダメだったから、今度はこうやってみようかな」というふうに、新しい選択をすることができます。