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「やらなければならないこと」「やりたいこと」をサクサク進め、自分の時間をコントロールするための段取り術についてのお話も、いよいよ後半に入ります。今回は、段取り上手に必須のスキル、「コミュニケーション」力について。少し意識を変えることで、あなたとあなたを取り巻く世界との関係は、劇的に変わります。読んだら、すぐに実践してみましょう!
相手の頭の中にある言葉をイメージする
ソクラテスは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」と説いたと言われています。プレゼンや商談などであなたが使う言葉は相手にちゃんと届いているでしょうか。コミュニケーションは、受け手に届いてこそ成立しますから、相手の頭の中にある言葉を使わなければ成立しないのです。カギは「受け手」にあります。
「ふぁぼありがとうございます」
「全部かわいくて草」
SNSを見ていると若者たちがよく使っているのを見かける言葉です。「ふぁぼ」はfavorite(お気に入り)の意味で、SNSでの「いいね」のことを指していますし、「草」というのは「笑える」「ウケる」のような意味で使われています。詳しくない人からすると、ちんぷんかんぷんですよね。
言葉は相手とのつながりを生み出すツールでもありますが、一方で相手との壁を作るものでもあるのです。しかし、これは何も若者に限った話ではなく、専門的な分野にどっぷりとつかっている人の中には、専門用語を多用する人が少なくありません。
商品やサービスについて専門用語を交えながら説明してしまうと、その言葉がお客様には届いていないことがよくあります。お客様と話すときはお客様が理解できる言葉で話す必要があるのです。なんとなく伝わっているような感じに見えて、相手の頭の中はもやもやとしていることでしょう。
私は日英通訳をする機会が度々あります。そのときに大切にしているのは、相手の使う英語をよく聞くということです。まずしっかり聞くことで、どのレベルの英語が相手にとってベストかを測るのです。英語を話す人は世界で17億人いると言われていますが、母国語として英語を話す、いわゆるネイティブは4億人しかいないのです。その4億人は英語を母国語として使っていますから、気遣いなく英語で話しかけても問題なく通じます。
しかし、残りの13億人は英語が話せるとは言ってもレベルはバラバラです。英語のレベルをしっかりと聞き分けて、こちらもレベルを合わせて話さないと、その単語や表現がいかにいいものであっても、相手がそれを知らなければ通じないということがあるのです。難しい言葉を使うとかっこいいかもしれませんが、通じなければ意味がないのです。
また、仕事中に当たり前のように使われている言葉の中には、実はその業界でしか使われない略語・社内でのみ通じる造語が存在します。新入社員や初めてその業界に入ってきた人はさっぱり意味がわからなくて、それゆえ会議の内容を誤って解釈してしまったりすることがよくあるものです。
本当に頭の良い人とは、難しい話でも噛み砕いてやさしく伝えられる人です。相手にどうしたら伝わるかを理解しているからです。ですから、プレゼンや商談、会議に向けて資料を作るときには、相手の立場に立って、その言葉はちゃんと伝わるのかどうかを検討しなければならないのです。どうしても専門用語が多くなる場合は、簡単な用語集を資料に入れるなどの配慮をしたいものですね。
とにかく話せばいいというものではなくて、相手を動かしたい、商品を買ってもらいたいなど、コミュニケーションの先にはゴールがあるはずなのです。一方通行になってしまわないように、事前にシミュレーションをして、どんな言葉を選択すれば相手に通じるか、コミュニケーションをスムーズにするために用意できる資料はないだろうかということを考えてみましょう。
~Have a language in common~ 相手の頭の中をイメージする
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