HSCには、障がいのない子もいる、障がいを抱えた子もいる
私は、自閉スペクトラム症(ASD)の感覚過敏とHSCの敏感さとはまったく関係ないと言っているわけではありません。そこには、重なる部分もあります。
たとえば、先日お母さんに連れられて初めて私のところに診療に来た子は、自閉スペクトラム症と診断されていました。
お母さんはこう言われました。
「先生、この子に障がいがあることはわかっています。それはそれとして、感覚の敏感さに本人がとても苦しんでいるようなので、この敏感さにどう対応したらいいかを教えていただきたいのです」
その子はたしかに、五感にいろいろ過敏さを持っていました。しかし注意すべきは、五感以外の敏感さも持っているということでした。通常、ASDの場合は人とのコミュニケーションが苦手で、マイペースで人にあまり関心を示さないのですが、その子は周囲にとても気遣いを見せるのです。
私は言いました。
「ASDであり、HSCですね」
明らかにASDの感覚過敏とは違う敏感さが見られたのです。
かつて私は、療育センターを受診した神経発達症をもつ15歳までの子ども500名弱の超感覚の有無と時期について、親への問診チェックリストへの記入方式で調査したことがあります。この結果、幼児期の44パーセントは親が「人の気持ちが読める」と感じる子どもであり、子ども全体の22パーセントは「見えないものが見えている」と親が感じていました。また、全体の20パーセント弱は「出生時や赤ちゃんの時の記憶」「自然への特別な感性」があり、3~5パーセントは、これら複数の超感覚をもっていました。
HSPとは病気や障がいという概念とは別物だということが、おわかりいただけましたでしょうか?
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