15 貧困 のはなし ── 親から子へ遺伝する貧困
フィリピンの「ストリートチルドレン」との出会い
ここから2章にわたって、貧困と国際協力の話をします。わたし自身の体験も交えながら書きますので、自分だったらどうするかな、なんて考えながら読んでください。
わたしと貧困の出会いは、大学生のとき。リゾートで有名なフィリピンのセブ島への女7人の旅。ビーチに近い安宿に泊まり、観光プランも自分たちで立てるような、いわゆる学生旅行でした。旅の費用を少しでも抑えるため、タクシーも一生懸命値切ったりしていました。
ある日のこと。買い物を終え、街中のショッピングモールでタクシーをつかまえようとしていたときのこと。おそらく7〜8歳でしょうか。10歳には満たないような、まだ小さい子どもたちが、わたしたちのところにやってきました。彼らは小さな手を出して、「お金をちょうだい」と言ってくるのです。彼らの服はぼろぼろで、なかには裸足の子どももいました。
これが、わたしとストリートチルドレンの最初の出会い。
彼らのような子どもは、ショッピングモールの駐車場などで生活をし、買い物に来るお客や観光客にお金をせびり、わずかな収入で生活をしています。ほとんどの子には、両親などの身寄りも、家もありません。もちろん、学校にも行っていません。子どもたちだけで外で生活し、通りすがりの人からもらうわずかなコインで食べられるものを食べ、その日暮らしの生活をしているのです。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。