嫌なヤツに出会ったら河童と思え。芥川龍之介の「皮肉力」

『河童』は、芥川から見た人間の嫌なとこを詰め込んだ存在で、こんなふうに描いたんでしょうけど。あなたにとっての「河童」は、どんな存在ですか?
 わたしは芥川の『河童』を読んで以来、嫌な人に出会ったら「このひと河童だ!! よくわからないこと言ってる!!!」って思うようになりました。おすすめです。

GWも終わり、そろそろ2019年上半期の終わりは近づいてきて。さてあなたは、五月病にかかってたりしませんか? 会社に学校に家庭に生活に。押し寄せる現実の波、乗りこなせてます!?
 この連載では、隔週で「古典」と呼ばれる小説をご紹介してるんですけど……わたし、古典を読むことって、五月病のような「ぼんやりした元気のなさ」に効くと思うんですよね。
 なにがあったわけじゃないけど、な~~~んとなく元気がでない、なんかだるい時って、人間だれしもあるじゃないですか。それが出やすい時期を五月病って呼ぶんだと思うんですけど。
 そんなとき、むかーしむかしの人が書いた悩みや鬱屈を読むだけで、すこし、心がすっと癒される瞬間があるんです。
 現代のスカッとする物語に触れるよりも、昔のぐずぐずした悩みを描いた物語のほうが、わたしたちをすくってくれるときがある。

 というわけで、五月病に効きそう(!)と個人的に思う、芥川龍之介の『河童』という小説をご紹介したいと思います。Kindleの青空文庫でも読めるので、今すぐダウンロードできる短編小説です!

『河童』芥川龍之介

僕は河童の国から帰って来た後、暫くは我々人間の皮膚の匂に閉口しました。我々人間に比べれば、河童は実に清潔なものです。のみならず我々人間の頭は河童ばかり見ていた僕には如何にも気味の悪いものに見えました。『河童・或阿呆の一生 』芥川龍之介(新潮社)

 主人公は、精神病院に入院している「第二十三号」。彼はむかし、ある温泉宿から山のほうへ向かっている途中、偶然にも河童を見かけた。河童を追いかけてみると、道中で彼は穴のなかに落ちてしまう。その先で出会ったのは、「河童」が暮らす世界だった……。
 なんだか穴に落ちて別世界へ行くあたり、アリスやガリバーなんかを彷彿とさせる話ですが。
 なんで河童の話が、五月病を吹き飛ばすんやねん! とつっこまれそうなので、先にこの話を読んで五月病を吹き飛ばす、おすすめのコツを3つお伝えしますね。


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コメント

ktre30 河童、もっかい読も☺️ 芥川パイセンの皮肉力、ぉっょぃ 6ヶ月前 replyretweetfavorite

restart20141201 "しんどさ、というものを通してだれかとつながれることは、ひとつの癒しなんじゃないかなー、とわたしは思うんですよ。" 6ヶ月前 replyretweetfavorite

DI5K455ETTE 今、わたしの周りに"河童"は見当たらない 6ヶ月前 replyretweetfavorite