キワモノ芸人だったタモリが “お昼の人” に
—— 『笑っていいとも!』に出る前のタモリさんは、いまとはずいぶんイメージが違ったそうですね。
樋口 そうそう。デビューしたころは、『うわさのチャンネル』だとか、『11PM』だとか、遅めの時間帯の番組によくゲスト出演していました。イグアナのものまねをしたりね。はっきり言ってキワモノ芸人ですよ。とんねるずの「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」より30年早かった。
そもそも、素人時代のタモリさんは、飲み屋で赤塚不二夫さんやサックス奏者の坂田明さん、作家の筒井康隆さんを前に、アングラなきわどい芸をやっていた。芸人としてデビューした当時も、“お昼の人” じゃなく、“夜の顔” って感じでした。そんな人がいきなり、お昼の帯番組の司会に抜擢されたんです。
『タモリ論』の中でも書きましたが、徳光さんがテレフォン・ショッキングに出たとき(2009年2月放送)、番組スタート当時を振り返り、タモリさんも「いまでいうと江頭 2:50 がお昼の帯をやるようなもんだった」って言ってたんです。
—— 『いいとも!』の前にやっていた昼帯の『笑ってる場合ですよ!』も、かなりの人気番組だったみたいですね。
樋口 そりゃもう、番組名自体が流行語になるくらい人気でした。当時の漫才ブームのまっただ中で、B&Bが司会をやって、ツービートや紳助・竜介がレギュラー出演していました。そんな人気番組を終わらせてはじまったのが、『いいとも!』なんです。
どちらの番組ともプロデューサーを務めていた横澤彪さんは、「タモリは3ヶ月=1クールもてばいいと思ってた」と言っていたくらいなのに、それが30年続くんですからね。誰もが予想していなかったことでしょう。
—— 本には書ききれなかったことで、昔のタモリさんの印象的なエピソードはありますか?
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