チキンゲーム、コーディネーションゲーム 勝利を呼び込むコミットメント

ゲーム理論を基礎から学んでみよう。身に付ければ、大きな武器になる。渡辺隆裕・首都大学東京大学院経営学研究科教授が誌上講義をしてくれる。

(前回「なるほど分かった!囚人のジレンマ 使える「戦略思考」の基本のき」の続き)

 「囚人のジレンマ」と同じように、基本のきと位置付けられる戦略形ゲームが「チキン(弱虫)ゲーム」である。

 正面に向き合った2台の車。ハンドルを握る2人が相手を目がけてアクセルを踏む。それぞれの戦略は強硬に「直進する」か、妥協して「回避する」かのいずれかだ。1人が直進し、もう1人が回避すると、直進した方は称賛され、回避した方は臆病者だと軽蔑される。共に直進すると大けがを負う。

 このゲームの解を考えてみよう。各プレーヤーが最適反応をしている戦略の組み合わせ、つまりナッシュ均衡はどこにあるだろうか。

 答えを教えるのは上表の利得表だ。数字が大きい方を丸で囲んでみる。Bが直進する場合、Aは直進して大けがをする(マイナス5)より、回避して臆病者だと言われる(0)方がましだ。

 Bが回避する場合、Aは自分も回避して何もない(1)より、直進して称賛される(2)がいい。

 同じようにBの立場でも考えると、ナッシュ均衡は「A直進-B回避」と「A回避-B直進」の二つあることが分かる。チキンゲームでは、2人がお互いに逆の戦略を取ることが解となる。囚人のジレンマのように一つではない。

 かつてのキューバ危機に代表されるように、国際政治経済を舞台とした究極の度胸試しの愚は、幾度となく繰り返されてきた。

 ビジネスや会社内においても、お互いが相手の妥協を引き出そうと、自分の主張や強硬姿勢を曲げようとしないケースは間々ある。

すみ分けを決める
フォーカルポイントとコミットメント

 チキンゲームの例としてもう一つ、「6万円を分ける交渉」というゲームを紹介しよう。

 お互いが仲良く妥協(チキン)すれば3万円ずつを分け合い、逆にお互いが強硬(ブル)に出れば、交渉は決裂して何も得られない。一方がブル、もう一方がチキンになると、ブルに5万円、チキンには1万円という配分になる。

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