ゲーム理論のゲームはざっくりと「同時に行う戦略形」「順番に行っていく展開形」に分かれる。基本のきとなるのは戦略形ゲームだ。ここから学んでいこう。
ゲームの構成要素は「プレーヤー」「戦略」「利得」の三つだ。
プレーヤーは人、会社、国家などのさまざまな主体。戦略はいかにも難しそうだが、何らかの「行動」や「選択肢」と考えればいい。
利得はプレーヤーが戦略を選んだときの予測結果だ。利益など具体的な数値の他、それを得点に置き換えたもので構わない。
まずは相手の立場になって行動を予測し、自分がどんな戦略を取ればいいのか、利得が高くなるのかを分析しようというものだ。
こうした戦略形ゲームの中で、筆頭格に位置するのが「囚人のジレンマ」である。いったん似たような状況に陥ると、ジレンマを抜け出すのは極めて難しい。
ストーリーはこうである。重い罪を犯した2人が、拳銃の不法所持で別件逮捕されている。重罪の証拠はまだない。
検察は2人を別の部屋に隔離して取り調べを行い、それぞれに司法取引を持ち掛ける。「もし、相手が黙秘し、君だけが自白すれば無罪にしてやる」というのである。
お互いに黙秘していれば、別件逮捕の懲役1年で済む。だが、誘いに乗って自白し、相手が黙秘したままならば、当人は無罪釈放、黙秘したままの相手は懲役10年となる。2人とも自白すると、自分だけが黙秘して警察に協力しないよりはましで懲役5年だ。
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