この欲求、夫が抱いてくれたなら、妄想だけで終わるのに

今回、牧村さんのもとには「夫を裏切りたくないのに、女性に惹かれる気持ちが消えない」という女性からの悩みが届きました。「一回だけでも夫が抱いてくれたなら、女性と付き合いたいという欲求がまた妄想の中で止まらせられたのにという思いでずっと一人悶々としてしまいます」という相談者さんに対して、牧村さんは優しく寄り添いながら「誠意ある婚姻関係とは何か」を考えていきます。


※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。

自分がレズビアンだと認めたくないから男性を誘いまくる、って時期、ありました。

恐ろしいことに、自覚できないんですよ。欲求の抑圧が強すぎると。そもそも、「あ、自分は自分がレズビアンだと認めたくないんだな」……って思ってることそれ自体も、認めたくない。だからすごい、頑張っちゃうんです。頑張って頑張って、考える隙間もないほどに努力しちゃうんです。考えるのが怖いから。考えなくて済むように。

そうすると周りから肯定される。

「すごい尽くすよね〜。彼も幸せだろうね〜」
「いや〜いいねぇ、男のツボを押さえてるね〜」

あなた幸せなんでしょ? って扱いを受けるから、もっともっとわからなくなっていくんです。どうして、こんなに満たされないんだろう。みんなの言うとおりにしてるのに、なんで……って。

今回ご紹介するのは、男性と結婚して数年経つ女性の方からのご投稿です。「女性に惹かれる自分を理解してくれる男性と結婚した。そんな夫を裏切りたくないのに、女性に惹かれる気持ちが消えない。夫が抱いてさえくれれば満たされるのに……」とおっしゃるこちらの方と、考えていきたいと思います。

牧村さんこんにちは、いつもTwitterやコラム連載、著作を楽しく拝読している者です。この度の元号が変わる直前、あまり人には話せない悩みができてしまいまして初めて投稿を送らせていただきます。

私は20代の初めころに男性と結婚して数年経つのですが、物心ついた頃から男性に惹かれないわけではないけれども女性に圧倒的に惹かれるという、敢えて既存の言葉でカテゴライズするならば「ほぼレズビアンなバイセクシャル」です。

そして早くに結婚をした夫は、私のセクシャリティを理解した上で交際と結婚を申し込んできたという人で、例えば普段家庭の話題で「私があの女性がタイプだ」とか「この百合が萌える」の話もごく普通に聞いてくれるという理解者です。穏やかで優しい夫のことは性的な交渉も含めて愛しています。それでもどうしても女性にばかり惹かれてしまう自分に、「周りからも早くに結婚して幸せな人認定されていて、実際に価値観がよく合う相手で生活は楽しく、でも本当は女性の方がもっと好き、子どもは持ちたくないしママにはなりたくないという気持ちがある自分が平穏に暮らせている、これで本当にいいのか?」という疑問を胸の内に抱えながらも見て見ぬ振りをして数年経ちました。

そんな状況に変化があったのは先日、私の大切な女性の友人ふたりが交際を始めていたと告白されたことがきっかけでした。ふたりは私が気づかないうちに交際を始めていたということで、正直驚きましたがふたりとも友人として大好きなので、さながら二次元の百合ップルを応援するような気持ちで祝福をしました。

その一方で…祝福しつつも私の中には、付き合いたてのふたりのことがどうしても羨ましい!私も女性と交際したい!という気持ちが沸き起こってしまいました。

しかしながら、私は世間で言うところの幸せな既婚者であり、夫を裏切ることはできません。ならば夫と付き合いたての頃のようにときめきや情熱が欲しいと思い夜ストレートに「セックスをしましょう」と誘いました。

すると「気分ではない」と断られる日々が続き、キスやハグは普通にしてくれるのにセックスだけ断られることが何度も続くことがこれまでまず無かったため、私は痺れを切らしてしまい「私にはもう飽きてしまったのか?好きな人が他にいるのか?」と問い詰めてしまったところ、夫は素直な気持ちを口にすることを少し躊躇っていましたがそれでも私がこういうことは有耶無耶にせずはっきりして欲しいとお願いすると、「君のことは家族として愛しているし他に好きな人もいないが、セックスまではもうめんどくさい。昔のようにドキドキしなくなってしまったんだ。今は放っておいて欲しい。」と言われてしまいました。

その口調はとても優しいものでしたが、どうしても今夫とセックスがしたかった私には深く刺さってしまい一人の時間になると涙が出てきてしまいます。そして、もういっそ外で女性の恋人をつくってしまいたいと少しずつ思うようになってしまいました。

確かに、誰しも「そういう気分にはなれない時期」ということはあります。もう少し我慢して待ち続ければ、夫もまた私のことを抱いてくれるかもしれません。そして、そもそも単純に私自身の魅力が足りていないから夫からの性的な愛情を得るには努力不足だったというのもあるでしょう。

それでも、それでも…今は一回だけでも夫が抱いてくれたなら、女性と付き合いたいという欲求がまた妄想の中で止まらせられたのにという思いでずっと一人悶々としてしまいます。

大変長くなりましたが、こんな私の状況にできれば牧村さんの率直なご意見をいただきたいです。よろしくお願いします。

(ご投稿に改行のみ加え、全文ご紹介しました)


ご投稿ありがとうございます。いただいてから数週間経ってますが、もしかして今頃はもう、この方はすでに、とっくに女性と楽しいデートをなさってるんじゃないかしら?

だって答え、完全に出てるでしょ。 ご投稿文からそのまま抜粋しましょうか。

(1)女性に圧倒的に惹かれる
(2)どうしても女性にばかり惹かれてしまう
(3)本当は女性の方がもっと好き
(4)私も女性と交際したい!
(5)もういっそ外で女性の恋人をつくってしまいたい
(6)女性と付き合いたいという欲求

6回も言ってる!見て!6回!ビックリマーク付きで言ってる!!!

しかもお相手の男性はそれを承知の上で交際を始め、結婚し、1つの文章に6回も女女女女女女って書いているあなたのお話を数年間聞いてくれている……という方なんでしょ?

そんなお相手の方のおっしゃること、ちゃんと受け止めました?

「きみに魅力がないから」「今はそういう気分じゃないだけ」「我慢して待ってくれ」だなんて、おっしゃってもいないことですよ。

あと、2回出てくる表現もあるんですよね。この順番で。

(1)付き合いたてのふたりのことがどうしても羨ましい
(2)夫と付き合いたての頃のようにときめきや情熱が欲しい

このとおりの順番でしたよ。
もう、おわかりでしょ。ご自分が本当は何を考えていらっしゃるのか。

は〜い、いってらっしゃ〜い。オープンザ百合園、リリィフローラル〜。(なんか単三電池2本で光るマジカルステッキみたいなやつをくるんくるんしながら)

んん〜。

あのね、このお話を通して考えたいのは、

一体、誠意ある婚姻関係って何か、ってことです。
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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

484614449 https://t.co/L3YML4vpV9 @makimuuuuuu #誠意ある婚姻関係って何か 11日前 replyretweetfavorite

roku_azure |ハッピーエンドに殺されない|牧村朝子|cakes(ケイクス) 性の不一致の話だと、この異性愛夫婦の話も好きです 自分と相手の運動会したい率が異なる話 https://t.co/BDM9D12qp4 26日前 replyretweetfavorite

patta02373106 良い記事。 既婚者も独身の人もみんなに読んでほしい。 26日前 replyretweetfavorite

AilesLibres 婚姻制度は、相互連帯責任制度であり、その責任関係をはっきりさせるための、国家による性愛管理制度である。 と言い切っちゃう筆者にニヤリ。 答えを出している人には、どうぞとしか言えないものねぇ。 https://t.co/XsVKGJCvWX 26日前 replyretweetfavorite