物流クライシス

日本郵便vsヤマト 「社会インフラ」旗手を目指す因縁対決の行方

宅急便が誕生した1976年から、宿命のライバルとして熾烈な競争を繰り広げてきた両社。宅配危機で再び、戦いのゴングが鳴った。社会インフラ企業の軍配はどちらに上がるのか。

 「もう、やっていけないよ」。あるケーキ店オーナーは大きなため息をつく。自慢の焼き菓子をネット販売しているが、ヤマトの営業が急に、配送料を倍にすると通告してきたのだ。

 ヤマトの値上げをのめない荷主が悲鳴を上げている。大幅な値上げを盾に取引停止を迫られるケースもあり、「ヤマトは宅急便を“社会インフラ”というが、その責務を果たしているのか」といった怨嗟の声が聞こえてくる。

 規模の大小や地域を問わず顧客を開拓してきたヤマト。しかし自社のコンプライアンス問題を口実に、値上げや総量規制を断行。ヤマトの尺度に合わない顧客を切り捨てる今のやり方は、かつての正義感溢れる企業イメージとは懸け離れている。

 そもそも宅急便は2代目社長、小倉昌男が「打倒・郵便小包」の発想で開発した。当時、個人間の小包輸送は旧郵政省と旧国鉄の独占事業。“親方日の丸”体質のせいか、田舎から送った果物が都会に着くころには腐っているなど、不便でお粗末なサービスだった。

 これに商機を見いだした小倉は、電話1本で集荷に駆け付け、原則として翌日配達する宅急便を開発。早くて丁寧、明快なサービスが主婦層から支持を得て、開始から8年で郵便小包の個数を抜いた。

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週刊ダイヤモンド 2018年5/26号 [雑誌]

ダイヤモンド社,週刊ダイヤモンド編集部
ダイヤモンド社; 週刊版
2018-05-21

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ヤマトのアマゾン切りで始まった物流の混乱は、収まる気配がない。混乱の舞台は、ネット通販などの宅配サービスだけではなく、産業全体にも広がりを見せている。配送料の高騰や物流網の寸断が企業活動のボトルネックになりつつあるのだ。個人も企業も巻...もっと読む

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