物流クライシス

内部資料と現場証言で浮かび上がる ヤマトを蝕むノルマ地獄

「怒鳴りますよ。絶対許しません」──。パワハラまがいの言葉で終わるメールの送り主は、ヤマトの集配拠点であるセンターを束ねるエリア支店長。宛先は管轄下にあるセンター数箇所である。

 内容はこうだ。昨年に比べてセールスドライバーの時間当たりの配達個数が減っており、生産性が落ちている。生産性を上げるにはドライバーの稼働時間を制限する手段があるが、そうすると少人数で荷物を運ばなければならず、極端に業務量が増えてしまう。

 それが嫌なら、もう一つの手段、外部業者に委託する荷物を減らせ。そうすれば多少の負担は増えるが、生産性を上げられる。だから委託個数を上限100個にし、残りは現状の戦力で励め──。

 「はっきり言ってめちゃくちゃだよ」。このメールを送りつけられた社員は、あきれ顔でこう吐き捨てる。

Illustration by Saekichi Kojima

 センターには毎日、大量の荷物が集まり、ドライバーは1日平均130個もの荷物を届けている。一方、十分な人員増強はなされず、再配達の回数も多いままだ。

 現在、ヤマト社内では、「残業は絶対するな」「昼休憩は何としても取れ」と働き方改革の大号令が掛けられている。本社はブラック企業のイメージを払拭したいから、コンプライアンス順守が最優先である。しかし、現場ではスタッフの総労働時間が減らされたほどには物量が減っていない。

 だから、本社指令と物量を運び切る目標の板挟みになったエリア支店長は、「各現場スタッフの生産性を上げることで荷物を運び切れ」と指示を出した。メールの文章は支離滅裂で正気を失っているようにも見える。それだけ、上からのプレッシャーが強いのだろう。

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週刊ダイヤモンド 2018年5/26号 [雑誌]

ダイヤモンド社,週刊ダイヤモンド編集部
ダイヤモンド社; 週刊版
2018-05-21

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ヤマトのアマゾン切りで始まった物流の混乱は、収まる気配がない。混乱の舞台は、ネット通販などの宅配サービスだけではなく、産業全体にも広がりを見せている。配送料の高騰や物流網の寸断が企業活動のボトルネックになりつつあるのだ。個人も企業も巻...もっと読む

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