ウーバーイーツの配達員は正社員でもなければアルバイトですらない。自分の空き時間を活用して配達を請け負う、普段は会社員や主婦、学生をしている一般人だ。ある利用者から「ドアを開けたら外国人がいた」という“タレコミ”もあるほど、多様な配達員がいる。
だが、いささかでも自らの口に入るものを運ぶ人が、得体の知れない人物というのでは心持ちが悪い。
そこで配達員の実態を知るべく、本誌記者が現場に“潜入”してみた。……いや、潜入というのは少々盛ったかもしれない。配達員の登録はそれほどにオープンで簡単だからだ。
まず行ったのは、ウェブ上での登録だ。簡単な情報を入力し、身分証明書をアップロードするだけ。ものの10分で作業終了。しばらくして携帯電話が鳴り、パートナーセンターでの登録を案内される。センターは東京・恵比寿などにあり、営業時間内ならいつ来てもいいという。
恵比寿にあるパートナーセンター。この日は記者以外に大学生らしき男性が3人いた
ある休日に恵比寿のセンターを訪ねると、そこには女性のスタッフが3人。登録の旨を告げると、おもむろにiPadを手渡された。「これで動画を見てください」と言う。椅子に掛け15分ほどチュートリアル動画を閲覧し、それが終わると銀行口座の登録、ガイドを使った報酬の仕組みの説明などが淡々となされ、30分程度で登録は完了した。
最後に配達用のバッグを渡されて簡単な使い方を教わり、この瞬間から配達可能となった。きっと厳しい登録員審査や細かいノウハウのレクチャーがあるのだろうと想像していたものだから、あまりのあっけなさに拍子抜けしてしまった。期待していた配達員同士の交流も一切ない。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。