新幹線でどう飲むか【スズキナオ】

目的地にいち早くたどり着けるという速さがウリの新幹線のはずだが、スズキナオさんはあえて時間のかかる「こだま号」に乗るという。その真意とは…。
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

こだま号に乗る理由

月に1回程度、大阪から東京へ行く機会がある。できる限り交通費を安く抑えるべく、私がよく利用するのがJR東海ツアーズの「ぷらっとこだま」というチケット。普通にキップを買ったら14,500円ぐらいする新大阪から東京までの片道料金が10,000円ちょっとで済むのだが、そのかわり「こだま号」に乗る必要がある。新大阪―東京間が、のぞみ号なら2時間半程度なのに対し、各駅に停車するこだま号だと4時間ほどかかる。

一刻でも早く目的地に到着したいというビジネスマンのことは分からないが、私にとってはたまにしか乗れない新幹線の貴重な時間がより長く味わえる上に料金が安いという奇跡のようなチケットが「ぷらっとこだま」なのである。欲を言えば6時間かかってもいいからさらに半額になって欲しい。

チップスターの本領

新幹線に乗る直前の、酒とつまみを調達するために売店を歩き回っている時間の楽しさは無上のもの。私のつまみはいつも決まっていて、まず外せないのがチップスターである。ヤマザキビスケット社のチップスター。あの赤や緑の筒に入って売られているやつ。「成型ポテトチップス」と呼ばれるもので、じゃがいもを一度全部細かくカットして形を整えてから揚げている。それゆえの、なんというか、ちょっとチープな食感がある。それが私は好きである。
チップスターの「うすしお味」を買い、3枚か4枚ずつ重ねて食べる。時には5枚重ねることもある。そうやって食べていくとすぐ無くなってしまう。1枚ずつちゃんと間をおいて食べればいいのに、と思いもするがやめられない。一気食いである。新幹線が動き出して10分ぐらいしか経ってないのにもう食べ終わっている。

しかしここからチップスターが本領を発揮するのだ。空になった筒を首の後ろに置き、背もたれに体を預けてみると、ちょうどいい首枕になるのだ。新幹線は快適だけど、長時間同じ姿勢で座っているからどうしても首が凝ってしまう。チップスター枕でそれが軽減される。筒の中は空洞なのでクッション性が高い。「ひょっとしてこの筒って枕用に作られたんじゃないの?」と思ってしまうほどしっくりくる。中身を一気に食い、空の筒を枕にひと眠り。たっぷり寝て起きたつもりでもまだ目的地まで2時間以上あったりするのがこだま号のいいところである。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!

スズキナオ /パリッコ

なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード