育児夫婦最大の挑戦 in メキシコ

父親になるってどういうこと? ググっても答えが出ないから書いてみた。ライブやフェスをレポートするのが趣味のネットユーザー、本人さん(@biftech)による子育て実況連載、第26回。電気グルーヴのライブ中止を受け、急きょメキシコ行きを決めた本人家。しかし波乱の旅路に…。

10日もある2019年のゴールデンウィークを前に、「どうしようね」と悠長に白紙の予定表を転がしていた我が家。4月にもなれば国内の宿はあらかた埋まり、だからって惰性で飛行機に乗る意味も金もない。こりゃ家で新元号を拝む感じかと思っていたら、すさまじいスマホ通知の一撃が放たれた。

ピエール瀧、逮捕。ダイニングテーブルに目をやれば、そこには数日後に控えた電気グルーヴ結成30周年記念ツアーのチケットがひんやり置かれている。つい先日「メロン牧場」の新刊を無事ゲットできて喜んでたはずの強火勢の妻は、それから毎日電気グルーヴのパーカーを自宅で着続け、わかりやすく落ち込んだ。ただでさえ彼女が長年推してきたアンジュルム和田彩花の卒業が近いというのに、運命め! 私はクレジットカードの限度額を確認し、メキシコ行きのフライトを取った。

人生で大切なことは一部メキシコから教わった。さっぱりした空と砂っぽく乾いた風、食べ物と排気ガスの生々しいにおい、口うるさく愛嬌ある人々。20歳の私はそんな環境に身を置き、軽やかに鳴るラテン音楽と色とりどりの手工芸品の虜となり、それは今も趣向や生活に焼き付いたままでいる。そんな場所に、パートナーや子供をいつか連れていけたら、と思っていたのだ。巡礼のような里帰りのような、そんな感覚で。

とはいえメキシコ渡航は距離として1万キロ以上、フライト時間も15時間近くになる。これまでの子連れ旅行の比ではない難易度だろうから、普段から「そらいつか行きたいけど……」と憧れるだけだった。だがしかし、この暗鬱とした我が家を照らすのはスペイン語圏の快活さしかないような気がした。行ってきますメキシコ。

そんなGW旅行は、地獄のようなフライトで幕を開ける。私たちは前回紹介した胃腸炎パンデミックで出発当日にも医者に行くほどの健康状態で、かつ仕事で消耗しきってから日本を出ることとなった。機内では赤子がこれまで乗ってきた飛行機の倍以上というロングフライトで細切れ睡眠、寝かしつけに抱いて機内をぐるぐる徘徊12時間。子に無理をさせる申し訳なさと自らの疲弊が面白いくらいに溜まっていった。

アメリカで乗り換え、首都メキシコシティ行きのフライトに搭乗する頃にはもう夫婦ともにボロボロ、刺々しい会話にしかならない臨戦態勢。そんな折に子供のパンツが濡れていることに気づき、率先して世話をというよりこの場を離れたい気持ちでトイレへ向かう。そしてギャン泣き君のズボンを下ろすと「えっこれうんこやん……」。呆然としている一瞬のスキをついて、おもらし赤さんはおむつ台でスウィングをぶちかまし、文字通り電気のツアータイトル同様”塗糞祭”へと突入した。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
こうしておれは父になる(のか)

本人

「今にこの子は「パパ」としゃべるだろう。そのとき自分は、何としてきみを抱きしめたらよいか、再び考えてみよう」――ライブやフェスをレポートするのが趣味のネットユーザー、本人さん(@biftech)がはじめての子育てを実況! 父親目線で見...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

ecotaroinecopia いつも楽しみに読んでるんですが、同時期に沖縄旅行でさえグッタリしていた我が家とは格が違う挑戦。。 28日前 replyretweetfavorite

biftech ゴールデンウィーク全力でした。2週間でようやく回復したと思う。 約1ヶ月前 replyretweetfavorite