佐内正史の、写真が生まれるとき【後編】「世界の見方」は共有できる

写真家・佐内正史さんの写真の秘密を掘り下げる「写真を読む夜」も後半に突入。先輩写真家・高橋恭司さんも認めるほど、写真への「覚悟」が強い佐内さん。しかし、電柱や灰皿など何の変哲もないものを撮っているのに、観る側の内側に何かしらの感情や思いを引き起こしてしまう佐内さんの写真の撮り方には、「覚悟」以外の秘密があるのではないでしょうか? 話を聞くうちに見えてきたのは、佐内さん独特の「世界の見方」でした。

社会性を持つと、写真の枚数は多くなる

タテ位置写真は写真家の覚悟である、写真をやろうと不退転の決意で東京に出てきたのだからタテ位置が基本に決まっている! 前回そう言い切った佐内正史である。が、自身のファースト写真集である『生きている』を見ると、すべてタテ位置というわけでもない。


佐内正史(中央)と高橋恭司(右)

佐内「そう、あれは、最初だから少し甘くしようっていう考えがあった。20代でつくったにしては、ちょっと大人っぽくしてあるんだよね。覚悟はもちろんあったけど。ストイックなタイプが少しゆるくなったくらいのものって好き。『生きている』はそのへんをやっている」

 佐内には、『生きている』よりも先にまとめた作品『trouble in mind』がある。そちらのほうが、より甘さを排した硬い印象の写真が多い。

佐内「でもあれも、硬くなりすぎないようにしているところはある。枚数を絞りすぎると硬くなるから、ちょっと増やしたりして。そうやって、社会性を持たせようという感じだね」
高橋「社会性を持って人とかかわった結果本をつくることになると、量はどうしても多くなるしね。本って、量がないと形になりづらいから」

佐内「人と話すとそりゃ楽しいし、前に進める感じがしていいんですよ。だから社会性を持つのはイヤじゃない」

高橋「佐内正史は“覚悟”の人だから、自分だけでやっていると、じゃあ写真なんて1枚だけでいいとか、真っ黒の画面でいいってところまでいってしまう。だから、チームで取り組む本づくりみたいなことが必要になってくるんじゃないのかな」

 高橋恭司は、佐内のことを「覚悟のある写真家」と認める。そして、それは、写真を撮っているときにかぎらないと言う。

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写真を読む夜

山内宏泰

人気写真家たちに話を聞き、写真表現の奥深さに触れてもらいたい。そんな願いから、毎月第一金曜日に代官山蔦屋書店で開催されているイベントが「写真を読む夜」。美術、写真についての文章を多数発表するライターの山内宏泰さんが、第一線で活躍するカ...もっと読む

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