自分が楽しむために会社を使い倒す

小野直紀さんと三浦崇宏さんによる『会社を使い倒せ!』刊行記念トークイベント最終回。お二人が思う仕事の楽しい瞬間とは? そして最後には、会社を「使い倒す」ためのコツをお二人から伺うことができました。仕事を楽しみ、大活躍するお二人が語るコツは必見です! cakesにて公開中の本編とあわせてどうぞ!(司会:ブックライター上阪徹)

仕事をする上で、どの瞬間が一番楽しいか

—そのKPIを自分で決めるのって結構難しい気もするんですけど。三浦さん、どうですか?

三浦崇宏(以下、三浦) あ、そっか。そりゃまあ、自分に向き合うしかない。あとは、『メモの魔力』とか読めばいいんじゃないですかね(笑)。

会場 (笑)

左:『会社を使い倒せ!』の著者・小野直紀さん/
右:The Breakthrough Company GO代表の三浦崇宏さん

三浦 結局、自分が何してるときが楽しいんだろうとか、自分は何してると気持ちいいかっていう、わりとシンプルなことだと思うんですよね。そんなに難しいことじゃないと思うんだけどなー。逆に言うとね、今直前まで、あるクライアントの新事業開発の打ち合わせしてたんですけど、楽しいんですよ、打ち合わせ。飲み会とかより全然楽しいんですよ。わけわかんないこと言ったり。だから何が楽しいか、広告を作ってて楽しいなって思う人もいるし、あるいはこうやって人から学ぶ瞬間が自分が一番楽しいなって思う方もいらっしゃるかもしれないし、あるいはなんかこう、一人でゆっくり何かを考えることが楽しいという人もいる。
例えば僕らの広告の仕事って、「依頼がある」「考える」「思いつく」「打ち合せする」「企画を決める」「クライアントに提案する」「提案して承認される」「企画をブラッシュアップする」「モノを作る」「世に出す」「世が話題になる」「話題になったクライアントが儲かる」「クライアントに感謝される」「賞とかで社会から褒められる」みたいな一連の成功までのプロセスがあるんですね、細分化すると。この中のどれが一番楽しいかって、全然違うんすよ。小野、どこ? 今ので言うと。

小野直紀(以下、小野) 僕はー……なんだろうな、「アイデアを思いつく」かなあ。……あ、全部だな。全部面白い。

会場 (笑)

小野 でも、アイデア思いつくじゃないですか。それ思いついたこと自体、もう気持ちいいですもん。それを実現していくとき絶対ハードルあるんですけど、そのアイデアが面白いからっていっても、それが素直に通ることってまずないんで、実現していく過程も大変で、でもこの苦しみっていうのは、この後の気持ちよさが待っているってことを知ってるから、楽しい。



その瞬間を楽しむために仕事を頑張っている

小野 で、出した後、「あーできたー!」って。なんか『情熱大陸』ばりにこうやってこう(笑)、見るんですね、自分で作ったものを。で、それに世の中が反応すると、これがまた気持ちよくて。賞とかは、まあそんなに、よかったね、みんなやってよかったねって感じで。でもなんか思いついて、作って、実現して反応があるっていうのは、すごい気持ちいい過程っていうか。そういうかんじ。

三浦 まあ、そういう人もいれば、僕はわりと二か所だけで。「思いついた瞬間」と、「世の中が話題になった瞬間」の二か所だけなんです。他は全部余り。その瞬間を楽しむために全部頑張ってるっていう。まあ、あるいは人によっては賞をとるのが一番嬉しいって人もいるし、賞をとって奥さんに「素敵ね」って言われるとうれしい人もいるし。全員違うんですよ。実現は、わりとうれしくないときもあって、「あーあれもできたのになー」って後悔しちゃうんだけど、でも結果、タイムラインをバーッてしてたりとか、ネットのニュースで話題になったりとかすると気持ちいい。まあ、PRマンだから。あとは思いついた瞬間。「あ、この考え方で全部が解決するな」って思った瞬間、脳内麻薬がバッと出るわけです。でも、ウチの会社の共同代表に聞いたら、「そんなん請求書出す瞬間に決まってんじゃん」って言うかも(笑)。自分のやってる仕事を細分化して、その時に何が一番気持ちよかったか、ってことから、KPI逆算するっていうのは割といいやり方かもしれない。

—あの、結構早い段階でそういうの見つかりました? やっぱりその紆余曲折を経てって小野さんも言ってましたけど、すぐには見つからないのかなっていう。

三浦 あ、それはそう。何回も何回も積み重ねていって、そりゃそうじゃないですか。料理だって、何回も何回も作って、ようやく、あ、ここの砂糖の入れ方で、量で味が変わるなとか。それはもうトライアンドエラーの積み重ねで、自分の大事な瞬間が見つかるんじゃないですかね。


コケても給料はたいして変わらない

—あの、いろんなヒントをたくさんいただきましたけど、最後に、会社を使い倒すためのコツは結局なんなんでしょうか。小野さんは、もちろん本に書かれてますが、改めて。

小野 そうですね、僕はマインドセットだと思ってて。やっぱり思い切りがいるんですよね。そういうふうになるための、ある覚悟というか。だから覚悟を決めるためには、なにか保証がほしいじゃないですか。その保証を僕は得たんですよね。それが、博報堂で言うと、博報堂は3千人の会社なんですけど、同期で言うとまあ百何人で、給料差って全然ないんですよ。多少はあるんですけど。ほんとにあって百万、2百万だって聞いて。それって博報堂の給料の基準でいうと、そんなにないなって思って。どんだけコケても、そんだけしか変わんないんだったら、「あ、全然リスクないわ」って思ったんですよね。3千人いても、そんなに変わんないんですよ。まあ、社長とかになったらちょっと大きいんですけど。ただの社員ってことでいうとそんな変わんないんで、そう思った瞬間に、「ああ、こんなにリスクない環境にいられてラッキー」って思ったんですね。
もうひとつは、だいたいの会社が、ある程度大きい会社はだいたいそうだと思うんだけど、「変わらないといけない」っていう意志をみんな持ってるんです。上の人たちは。でも、箱を作って、なんとか推進室、例えばイノベーション推進室みたいなの作ってもだいたいうまくいかない。どうしようってなってる。一番いいのは、やっぱ社員が自ら動いて会社を変えていくみたいな、現場から変わっていくっていうのがいいんですよ。そういう論調をもって、自分はこういうことがやりたいっていうふうに言っていく。それを会社が否定するムードが今ないですから。たぶん会社もそういうことを望んでるんですよ。


自分と会社の掛け算を意識してみる

小野 あともうひとつ、自分がこれをやりたいって言ったことに対して、自分だけじゃできないことがあるっていうのをすごい思ったんですよね。今この会社と掛け算して何かできたほうが面白いんじゃないかって。「自分と会社の掛け算」みたいなことをすごい意識したんです。要するに「自分がこれをやりたい」じゃないんですよ。実現できる方法というか、そうじゃないと実現できないものっていうのがあるっていうか。たとえるなら、AさんとBさんが結婚したら、AさんとBさんでしか送れない人生があるわけで、そこに行けるというか。でも自分だけだったら自分でしか行けないから、やっぱ掛け算ができるというのがすごい重要。そう思えたときに、なんか動けたというか、そういうとこがありますね。

—三浦さんはいかがでしょうか?

三浦 会社を使い倒すコツは、会社の進んでるベクトルをちゃんと見極めることで、要は、自分の働いてる会社の財務諸表とか、株価の推移とか、人事の異動とか、ちゃんと見てますか? 僕は博報堂辞めちゃったんですけども、面白くてしょうがないんですよ。要は、このポジションにこの人が行くってことは、今、会社はこの方向目指してるんだなって。小野が今こうやって許されてるのは、会社がそういうことを目指してるんだな、あるいは今、広告ってやばいやばいって言われて、クリエイターみんな辞めちゃって大変だけど、実際、博報堂は去年、最高益で。

—あ、そうなんですか?

三浦 そうですよ! っていうことは博報堂ってやっぱりクリエイティブじゃなくてメディアが大事なんだなとか、いろいろ分かるわけですよ。それを見ないのに、会社が言うこと聞いてくれないとか、会社は使えないとか、もうわけわかんない! まあ、わけわかんないって言いながら俺はまあそんな感じだったから、小野に乱暴って言われるんだけど(笑)。
やっぱりね、恋愛と一緒なんですよ。要は、相手が何を好きで、どうなりたいか、これが分かんないと、当然相手とコラボレーションなんかできないし、会社ってものをみんなあまりにも見てない。なんだか大きくてわけのわからない、巨大な、自分には関係のない存在だと、理解しようとしてないのにもかかわらず、理解してもらえないっていう人が多いような印象がある。……まあ若いころの俺もそうでしたけどね(笑)


(司会・構成 上阪徹/撮影 宇賀神善之/場所 有隣堂アトレ恵比寿店)

全国書店にて好評発売中! 注目の博報堂クリエイティブディレクターによる、会社を辞めずに「やりたい」を仕事にする方法!

会社を使い倒せ! (ShoPro Books)

小野 直紀
小学館集英社プロダクション
2018-12-20

この連載について

初回を読む
会社を使い倒して自由に働く—小野直紀×三浦崇宏対談

三浦崇宏 /小野直紀

広告会社でモノづくりをするという異色のプロジェクトを実現した博報堂・小野直紀さんの著書『会社を使い倒せ!』。刊行を記念して行われたトークイベントの模様を公開します! ゲストにお迎えしたのは、2017年に博報堂から独立し、飛ぶ鳥を落とす...もっと読む

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Cre8rLife ・自分が何をしている時が楽しいか。(自己把握) ・リスクの実体を数字で見る。(リスク把握) ・会社との方向性の確認。(理念共感) 要は会社通じて仕事を楽しめてるかどうかですね笑 #小野直紀 #三浦崇宏 #会社を使い倒せ https://t.co/GFTgXkR6s8 5日前 replyretweetfavorite

misato83972496 やっと、この楽しさに一歩近づけた気がします。 https://t.co/nXVAZVMy3P 6日前 replyretweetfavorite