少し前にTwitterで、ある銭湯の張り紙がバズっていた。
「一見さんや若い方の中には浴場マナーを理解されてない人もおられます。
しかし多くのケースでは、そこに悪意はありません。ただ経験が少ないだけです。
きつい言い方でしかるのではなく、やさしく注意していただくか、番台に声をかけて頂けると有り難いです」
それを見て、「山も同じだなぁ」と思った。
山でもたまに、他人の無知にものすごく怒る人がいる。だけど、知らない人には教えればいい。それだけのことだ。
その教え方って性格が出るし、教えられたほうの態度にもやっぱり、性格が表れると思う。
知らない人には教えればいいだけ
山小屋には守ってほしいマナーがある。
たとえば、山小屋にはゴミ箱がない。山小屋で購入したもののゴミは引き取るけど、自分で持ち込んだものはすべてお持ち帰りいただく。
一般的に山のルールと呼ばれるものがあり、「ゴミは持ち帰る」というのもそのひとつ。山小屋でゴミを引き取らないのは、山のルールに準じているからだ(ゴミをヘリで降ろすため、コストや保管場所などの問題から物理的にムリ、という理由もある)。
しかし、山小屋にゴミを捨てていく人がいて、そういう人は2タイプに分類できる。
A ルールを知っているのに違反する人
B ルールを知らないため、ついうっかり違反してしまう人
知っていて違反する人は、当然それが「バレたら怒られること」だと認識している。だから、スタッフにバレないよう、トイレの汚物入れにこっそり捨てていったり、布団の下に隠すように置いていったり……。
はっきり言って、めちゃくちゃ腹立たしい。そういう人は、注意されればそのときは渋々持ち帰るけど、きっと別の山でも同じことをしているのではないか。
一方、ゴミを持ち帰るというルールを知らない人は、無邪気に「すみませーん、これ捨てといてください」とゴミを渡してきたりする。
そういう人には、「すみません、うちで買ったもの以外のゴミはお持ち帰りいただいてます~」と言えば、ほとんどの場合「あっ、そうなんですね」と納得し、持ち帰ってくれる。
山小屋スタッフとしてどっちが困るかというと、知っていて捨てる人だ。
個人的に、知らずにうっかりルール違反してしまった人には、そこまで目くじらを立てることもないと思っている。
「無知を許容しろ」とは思わない。大事なのは「どう教えるか」
誤解されたくないのだが、私は「無知を許容せよ」と言いたいのではない。
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