部下の女子が飼い犬を亡くした。どんな言葉をかければいい?

相手が言ってほしことを言ってあげる。それが、うまく「伝える」ための鉄則だ。それを見つけるために、「アングル」×「ツリー」という方法を提案した。今回はその実践編。飼い犬を亡くして悲しみに沈んでいる部下の女子、普段はあまり会話もしていないが、何か言わずにはいられない。さて、どんな言葉をかければいいか。話題の『伝わるしくみ』から特別連載。

『伝わるしくみ』山本高史
マガジンハウス

共有エリアに立って伝える 実践①

実践① 部下の女子が飼い犬を亡くした

上のようなテーマを仮に設定して考えてみたい。 彼女が悲しみに沈んでいるとして、どのような言葉をかけるか。そのような時も「共有エリア」に立つとよい。 ここでもやはり、

「共有できそうなテーマ」
  ↓
「アングル」×「ツリー」
  ↓
「共有エリア」
  ↓
「アイディアの発見」
  ↓
「ベネフィット」
  ↓
「伝える」

で考える。
「部下の女子」「飼い犬」「慰める」という状況である。
(ぼくがその架空の上司なら、ということで進めます)

●「共有できそうなテーマ」
大切な存在を失うということ。
(ぼくは父を亡くしている。これまでに飼い犬も何匹か。もしそういう経験がなかったり犬に興味のない人ならば、失恋も近似値かもしれない。要はその「失った」とい う共有できそうなポイントから、どう想像できるかということ)

●「アングル」×「ツリー」
「アングル」は、とりあえず3つ。 (必ずしも何個もなくていいのです)

◯悲しむ側→ 涙、ペットロス・空洞、写真・思い出・長い時間、やる気なし、もう飼いたくない、生命への思い、(老犬ならば)老後の介護......
◯慰める側→ 心配、同情・一緒に泣く、困惑・他人事・踏み込めない、自分の同種の経験、気晴らし......
◯亡くなった犬→ (人間の気持ちに変換して)感謝、心配、犬から見る思い出、生まれ変わったら......

(「ツリー」の先に置く言葉は、単語でもいいし文章でもいい。しかしそこに意味の限定的な言葉を置くと、そこから想像しにくくなることもあり)

●「共有エリア」と「アイディアの発見」
ぼくも 数年前に父親を亡くした時は数カ月間呆然としていた。ただ悲しいだけだった。何も考えたくなかった。そういう時は前向きな慰めは耳に入らないものだ。
「お父さんのためにも元気出さなきゃ」とか。泣いてくれる友人は嬉しかった。それだけ自分のことを思ってくれているという意味で。
 しかしこの状況では一緒に泣くわけにもいかない。生き物は必ずいつかは死ぬ。それは親も飼い犬も同じだ。送る側も それはよくわかっている。ただそれを冷静に認める段階じゃないからだ。思い出が頭の中でぐるぐる回っている時期にそれをやめろという権利は誰にもない。ましてや他人だ。
 ここまで悲しんでもらえるとは、よほど愛されていたに違いない。見たこともないが、幸せな犬だったんだろうな。

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「しくみ」がわかれば、簡単に言葉にできる! シンプルにして究極のルールを、クリエーティブ・ディレクター/コピーライター、関西大学社会学部教授でもあるコミュニケーションのプロが、満を持して公開。今までいろいろな本を読んでも まだまだ悩み...もっと読む

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