自分のセクシャリティを名付けていいのは、自分だけ

複数の人と同時にそれぞれが合意の上で性愛関係を築くライフスタイル「ポリアモリー」。ポリアモリーと混同されやすい言葉のひとつに「ポリセクシャル」というものがあります。これは、「性的指向が複数のジェンダーの人に向く」というセクシャリティのこと。ジェンダーやセクシャリティにまつわる言葉は増加と細分化を続けていますが、きのコさんはどのように感じているのでしょうか?


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こんにちは、きのコです。

今回は、ポリアモリーというライフスタイルと混同されやすい、「ポリセクシャル」というセクシャリティについてまとめたいと思います。

ジェンダーは“男”と“女”以外にもいろいろある

ポリセクシャルとは、「性的指向が複数のジェンダーの人に向く」というセクシャリティのことを指します。

小難しい言い方をしていますが、そもそもポリセクシャルという概念の前提には、「ジェンダーは“男”と“女”以外にもいろいろある」という考え方があります。

こういった考え方はいま世界に広がりつつあり、たとえばFacebookのプロフィールには、実に58種類もの性(性的自認や性的指向を含めて)の選択肢があります。いわく、「男性(シスジェンダー)」「女性(シスジェンダー)」「MtF(トランスジェンダー)」「FtM(トランスジェンダー)」「Aジェンダー」「バイジェンダー」「パンジェンダー」などなど…。

ぶっちゃけ、性別欄なんてもう選択式より記述式にした方がいいんじゃないかと思うほど、多様な性のかたちがあるのです。

(ちなみに「シスジェンダー」とは、生まれもった身体の性と自分が認識している自分自身の性(性的自認)が一致する人のことです。たとえば女性の身体で生まれて、自分を女性だと認識している人は、シスジェンダーということになります。ここでは全ての「○○ジェンダー」について説明することはしませんが、興味が湧いた方はぜひ調べてみてくださいね。)

そしてその「ジェンダーはいろいろある」という前提のもと、性的指向が複数のジェンダーの人に向く「ポリセクシャル」というのは、たとえば「女性のシスジェンダー、MtFのトランスジェンダー、Aジェンダーの人は好きになるけれど、それ以外のジェンダーの人は好きにならない」というような人を指します。

つまり、「好きになるジェンダーがいくつかあるけれど、一方で好きにならないジェンダーもある」ということです。

ポリセクシャルについてもっと詳しく知りたい場合は、以下も見てみてくださいね。

『☆ポリセクシャル☆』
性的指向の種類~同性愛、両性愛、無性愛、全性愛、多性愛~
「ズッキーニ」って何? LGBTだけじゃない12の性的指向、まとめてみました。

私はパンセクシャル

ちなみに、私自身はポリセクシャルではなく、パンセクシャル。

パンセクシャルとは、「すべてのジェンダーが恋愛対象」というセクシャリティのこと。「好きになる時に相手のジェンダーが条件にならない」点が、ポリセクシャルとの違いです。

私の場合、「そもそも恋愛感情と友情の違いがよく分からない」という感覚と「恋愛感情と友情をあまり厳密に区別したくない」という価値観とが根底にあり、「自分の“誰かを好ましく想う気持ち”は、相手のジェンダーにはあまり左右されないなぁ…」と思うので、そんな自分をパンセクシャルと認識しています。

私はパンセクシャルのポリアモリーですが、ポリセクシャルのポリアモリーもいるし、もちろんヘテロセクシャル(性的指向が「異性」という単独のジェンダーにのみ向く)のポリアモリーもいます。

まぁ、いろいろ書きましたが、要は「ポリセクシャルはセクシャリティ、ポリアモリーはライフスタイル」と改めて考えてもらえばよいと思います。

ジェンダーやセクシャリティにまつわる言葉やLGBT用語ってどんどん増加と細分化を続けています。これが「既存の言葉には自分が当てはまらず、孤独感や不安を感じていた」人を安心させ、そのキーワードで人々が繋がるきっかけになるのであれば素晴らしいこと。

しかし一方で、過度な細分化がLGBT内の不毛な内戦を生まないか、という不安もあります(昨今の“本当のトランスジェンダー”論争などがいい例です)。

自分を名付けていいのは自分だけ

言葉の受け止め方や使い方は人によって違うので、LGBT用語の細分化によるポジティブな影響とネガティブな影響のどちらが大きいとは一概にいえません。

ただし、どんな言葉を使うにせよ使わないにせよ、自分を名付けていいのは自分だけ。他人から勝手に名付けられたり、「あなたは本物」「あなたはフェイク」などと裁かれるいわれはありません。

むしろ、数え切れないほど言葉が増加して細分化して、最後には「みんなちがって、みんないい」までたどり着いて、もはやどんなジェンダーやセクシャリティの言葉も必要なくなる。複数のジェンダーを好きになるポリセクシャルも、全てのジェンダーを好きになるパンセクシャルも、単独のジェンダーを好きになるヘテロセクシャルも、「その区別、特に要らないよね」というのが理想だと思っています。

もちろんポリアモリーというライフスタイルだってそう。お付き合いしている人数が2人でも、1人でも、0人でも、別に恋人の数で人間を区別しなくていいよね。と、言える世界にしていきたいと思います。

この連載について

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わたし、恋人が2人います。

きのコ

「ポリアモリー」という言葉をご存じでしょうか? ポリアモリー(複数愛)とは、複数の人と同時に、それぞれが合意の上で性愛関係を築くライフスタイルのことをいいます。浮気でも不倫でも二股でもない「誠実で正直な複数恋愛」とはどのようなものなの...もっと読む

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