会社をつくりたかったのではなく、プールを借りるために起業した
藤野 起業して、会社をつくることになったときに、どういう会社にしたいと思っていましたか?
出雲 いやぁ、それが、私、まったくそういうイメージを持っていなかったんです。というのも、僕の育った多摩ニュータウンというのは……
藤野 またまた登場しました、多摩ニュータウン(笑)(第1回参照)。
出雲 すべてを多摩ニュータウンのせいにするのは申し訳ないんですけどね(笑)。でも本当にあそこは、サラリーマンと公務員しかいなくて、その人たちが似たようなつくりの団地に住んでる画一的な場所なんです。町の隅々まで計画されていて、すごく生活しやすい。パーフェクトな歩車分離が実現しているから、多摩ニュータウンに暮らしていた時は、町のなかで車を見たことありませんでした。
藤野 それはすごい。
出雲 車もなければ、社長も士業の人もいない。私はテレビに出てくるスポーツ選手などは、架空の存在だと思っていたんですよ。というか……火星人?(笑)
藤野 ははははは(笑)
出雲 あれは宇宙から電波がきて放送してるんだと思っていました。だって、多摩にはいませんもん、あんな人。地球には公務員とサラリーマンしかいない(笑)。だから、会社の社長という職業も、僕にとってはだいぶフィクションだったんです。こういう会社をつくりたいというのではなく、法人という名義が必要だったから会社をつくったんです。
藤野 なぜ必要だったのでしょう?
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。