家族の絆を壊せない。家庭内性暴力に耐えています

今回、牧村さんのもとには「従兄弟からの性暴力被害に耐え続けている」という女性からのお悩みが届きました。「私、どうしたら良かったんでしょうか。助かりたいです」という相談者さんの悲痛な叫びに、牧村さんは「大丈夫、もう大丈夫です」と真摯に寄り添いながら、力強い言葉を投げかけます。


※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。

「私さえ我慢すれば」

って、耐える人がいます。

そうして誰かに我慢させている集団ほど、仲良しに見えるものです……表向きには。

今回ご紹介するのは、「従兄弟からの性暴力被害に耐え続けている」というご投稿です。プライバシー保護のため600字削り、表現を調整しましたが、性暴力関係のトラウマがある方は、フラッシュバックにご注意いただきたいと思います。

表現について、もうひとつ前置きがあります。

拒否しても繰り返し胸やお尻を触ってくるという従兄弟の行為を、ご投稿者の方は「痴漢」と表現していらっしゃいます。そこはご投稿者の方が書いたまま掲載しますが、私個人はこの行為を、内閣府の定義に従い、きっぱり「性暴力」と呼びます。

過去記事でもお伝えした通り、「痴漢」という言葉を、私はフィクションのポルノ作品にしか使いません。フィクションでない現実について、「性暴力」を「痴漢」と呼ぶことで、混同したり軽んじたりしたくないからです。

では、ご投稿をご紹介します。

こんにちは。20代の女性です。現在、海外留学中です。牧村さんの、性的被害と寂しさについて書いている記事を読んで、気付いたら、筆を取っていました。
(牧村注:おそらくこの記事のことでしょうか)

私は男性に嫌悪を持っています。一つ下の従兄弟が原因です。私の家族と従兄弟家族はすごく仲がよく、週に一度は夕飯を囲んで団欒していました。本当に仲が良く、姉妹しか居ない私は従兄弟を弟のように思っていました。

週末、親たちは買い物に出かけ、姉と妹と私と従兄弟は雑魚寝していました。そんな中、ふと気付くと従兄弟が勝手に私の体を触っていました。胸でした。寝惚けた、無意味にマセた頭で、ああ、この子にも性的好奇心があるのかなと思いながら、じっと身を固くしていました。しかし、その手がパンツの中に潜り込んできて、私は「うわ、キモい」と感じて、寝返りを打って、足を丸めて、その手を拒否しました。

それからは従兄弟がもう一度胸を触ろうとしてきたので、手も丸めて身を守りました。従兄弟も諦めたようで、その後は手を引っ込めてくれました。

しかし、その後も従兄弟からの痴漢は続いています。親が居る前では何もしてこないのに、二人きりになったら外でもお尻を触ってくるようになりました。拒否は一応しました。「何してんの?」と面と向かってたずねたこともあります。でもやめてくれませんでした。

親にも従兄弟の親にもこの事は言えませんでした。私達は仲が良い親戚で、その事で親同士の仲も姉妹と従兄弟の関係も壊すことが出来ませんでした。

本当に、怖かったなと思ったのは私の家族と従兄弟の家族と一緒に旅行した時に、従兄弟と同室で寝ることになった時です。私も従兄弟も20歳近く。気付いたら、部屋割りがそうなっていました。私はその状況になるのが嫌で、従兄弟と同室なんてヤダって一応言いました。でも、「嫌がったら従兄弟がかわいそう」と言われ口を閉ざしました。

私に出来ることは一晩寝ないようにすることでした。でも、気付いたら眠ってしまっていて、朝5時に飛び起きるように起きた時、従兄弟が枕元に立っていたこと、触られている時より怖かった。

私達姉妹と従兄弟は小さい頃、よく一緒に風呂に入って、一緒に寝て、タオルケットを取りあったりしていました。だから、親の中では従兄弟と私が一緒の部屋で寝ても子供同士何でもなかったのだと考えていたんだと思います。だから、余計もう何も言えなくなりました。私が用心するだけです。

今でも従兄弟の痴漢行為は続いています。従兄弟は内気な男の子でした。私も内気な方で、多分、私は従兄弟に触ってもいい女に選ばれてしまったのだと思います。私が家族間の関係を気にして、打ち明けられないのも知っていて、私を選んだんだと思います。本当に気持ちが悪いなと思います。

だから、せめて家族と関係ない地元から離れた友達に相談したりするんですけど、口下手だから、こんなにみっちり状況を説明して相談出来なくて、「親に相談すれば良いじゃん」「従兄弟と会わなきゃ良いじゃん」「胸でかいからなぁ」とか言われてしまい、「それが出来ないから困っている」と伝えれば、友人たちに思いつける案も尽きて、話が逸らされてしまいます。

ずいぶん大人になってきて、私が思い付いた打開策は家から離れることでした。就職先を実家からも従兄弟からも遠く離れた所にしようと思います。極端かもしれないのですが、留学して家族から離れられることを知って、私は家から出れば、従兄弟に会わなくて済むんだと気付きました。

私、家族が大好きなんです。従兄弟の親も私を娘みたいに可愛がってくれてて、私を遊びに連れて行ってくれたりして、本当に大好きなんです。でも、従兄弟の親に会うと、従兄弟にも会うことになる。

薄情かも知れないし、私がもっと従兄弟を拒否するべきだったかも知れないし、もし、従兄弟が他人に痴漢行為をしたら私のせいかも知れないし、従兄弟がそれで捕まっても私が親に言ってやめさせなかったからかも知れない。全部ぐちゃぐちゃで、怖くて嫌なことから逃げたいだけかも知れません。

長文を書いてしまってすみません。私、本当は助かりたいんです。従兄弟から痴漢に遭わないようにしたいんじゃなくて、従兄弟に痴漢するのやめて欲しいんです。でも、誰の手も借りれなくて、二人きりで会いたくなくて、私早くここから脱出したいんです。何で私が従兄弟のせいで孤独にならなきゃいけないのって思います。私、どうしたら良かったんでしょうか。助かりたいです。
(ご投稿を全文拝読の上、個人情報保護のため編集して掲載しました)


よく書いてくださいました。「本当は助かりたい」という結論に至るまでを。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

mori_kananan |牧村朝子 @makimuuuuuu |ハッピーエンドに殺されない 家族ってなに? 絆ってなに? お腹の中の生命を感じながら思う。 https://t.co/erZvgUbdeI 12日前 replyretweetfavorite