平成おじさん【パリッコ】

「令和」がスタート。新しい時代の幕開け。そんな中、今回は過ぎ行く「平成」のお酒についてパリッコさんが振り返ってくれています。
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

我こそが平成おじさん

あっという間に突入してしまいましたね、「令和」。

令和という元号が発表された瞬間のことは忘れようもなく、「京都までチェアリングの取材を受けにいく」という冗談みたいな状況のもと、ちょうど東京に出てきていたナオさんとふたり、新幹線で関西へ向かっていたのでした。 そろそろ発表されるはずの時間になっても、社内の電光掲示板に速報が出るわけでもなく、ナオさんがスマホで「あれ? なんか発表されたみたいっすよ」みたいなノリで見せてくれた動画に、官房長官の持つ「令和」の文字。それまでは「どんな元号になるんだろう~!?」なんてドキドキもしていたんですが、なぜか肩透かしとでもいうか、令和、れいわね、いいんじゃないの? シュッとして、みたいなあっさり感。なんだか不思議な説得力みたいなものがある気がしますね。令和という響きには。

ところで、2019年4月30日。令和前夜。突然気がついたことがあります。 「平成おじさん」という言葉があったでしょう。1989年に「平成」という新元号が発表された際、当時の官房長官、小渕さんの佇まいがなんだか印象的で、その小渕さんに付けられたあだ名というか。で、その時から30年間、平成おじさんといえばそれすなわち小渕さんのことだった。 けれども、時代が令和へと突入すると同時に、むしろ平成おじさんとは、平成の時代約30年間を丸々生き、いまや立派におじさんとなった、自分たちの世代のことをこそずばり言い表す言葉となったのではないか? と。具体的には、現在35~45歳くらいの世代の男性って感じでしょうか。

20数年前の酒事情

平成の元号が発表された当時、僕はまだ小学生だったので、さすがに酒は飲んでいませんでした。大酒飲みだったというはらたいらさんのエッセイ集『今夜もハシゴ酒』を読んでいたら、まえがきにいきなり「土佐の酒飲み坊主だった小学生時代」という言葉が出てきて、これぞパワーワード! と思ったことがありますが、さすがにそこまでの小学生ではなかった。でもまぁ、具体的には書きませんが、それから数年後には酒を飲むようになっていました。そこで思い返してみるに、ほんの20数年前の日本の酒事情、お酒に対する人々の感覚、今とは驚くほど違っていたんですよね。

大前提として、誰でもどこでも買うことができた。というのも、街なかの自動販売機で、普通~に年齢確認の必要もなく買えたんです。 1996年に酒販業界が自主的な撤廃に動き出した結果、昨年、2018年の時点で、購入する人の年齢確認ができない従来型の酒類自販機は、22年前の1.5%にまで減少。現在も完全撤廃に向けて動いているそう。この数値を見ても、当時はあまりにも気軽に酒が買えたんだなぁということが実感されますよね。 また、飲食店の意識もすごく低くて、どう見ても中学生だろうと高校生だろうと、居酒屋に入ろうとして断られるということはほぼなかった気がします。入店時の年齢確認が急激に厳しくなってきたのって、僕がちょうど20歳くらいの頃。自販機減少の動きともリンクしていますし、世間のお酒に対する危機感覚がどんどん高まっていった時代だったのでしょう。

「アルコールハラスメント」なんて言葉もまだまだ一般的ではなく、会社の飲み会は強制参加で仕事の一環。老いも若きも「一気」当たり前。世の中には酒が飲める人も飲めない人もいるというのに、そういう考えかたの部分が多少マシになった今からはとても考えられない感覚だったといえるでしょう。しかし「飲みニケーション」って言葉、超ダサいよなぁ……。

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“よむ"お酒

パリッコ,スズキナオ
イースト・プレス
2019-11-17

この連載について

初回を読む
パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!

スズキナオ /パリッコ

なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、...もっと読む

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