tomad(Maltine Records主宰) →増田セバスチャン(アートディレクター/6%DOKIDOKIプロデューサー) Vol.2「90年代はどんな時代だったんですか?」

今回のインタビュアーは、インターネットレーベル「Maltine Records」を主宰し、tofubeatsをはじめ新進アーティストたちの作品をリリースし、さまざまなイベントなども精力的に開催しているtomadさん。弱冠16歳でレーベルを立ち上げ、昨年大学を卒業したばかりの彼が、"いま話を聞きたい人"として挙げてくれたのは、原宿のショップ「6%DOKIDOKI」のプロデューサーで、きゃりーぱみゅぱみゅのデビュー時から美術演出、世界観作りなども手がけ、日本の「カワイイ」文化を世界に発信し続けている増田セバスチャンさん。そんな増田さんがこれまで歩んできた道のりについて、tomadさんが聞きました。

90年代はどんな時代だったんですか?

Q. 6%DOKIDOKIのような世界観は、もともと増田さんのなかにあったものなのですか?

増田:昔からオモチャやお菓子などカラフルなものは好きでしたね。80年代後半から90年代前半頃というのは、いとうせいこうさんの「ノーライフキング」のように、人間が機械に侵されていくというような未来像があったんですね。ただ、僕自身未来が本当にこうなっていくようには思えなくて、あまりリアリティはなかった。それよりも自分が育ってきた商店街にある本屋やオモチャ屋、駄菓子屋などで目にしたマンガやカラフルなパッケージが原風景としてあって、そこにリアリティを感じていたんです。でもまさか、20年前に僕のことを散々怒っていた評論家やギャラリストたちは、これだけ街中にキャラクターが侵食している未来になるとは思ってもいなかったと思います(笑)。

Q. もともと僕は文学や哲学、現代美術などが好きなんですが、増田さんの自伝にもアートをはじめ、90年代のサブカルチャーに影響を受けたということが書かれていて、親近感を覚えたんです。クラブやレイヴなどにもよく行かれてれていたそうですね。

増田:当時はちょうどテクノブームで、クラブに行くとそれまで聴いたことがないような音楽がかかっていて、色んな業界の人たちが集まっていて、そこから何かが始まるような空気感があったんです。レイヴにしても、ショップの買い付けでL.A.に行く時とかによく行っていました。当時はネットも発達していないから、街中の古着屋なんかが並んでいる通りにひとつだけあるギャラリーでチケットを買うんですよ。まず、L.A.の情報誌に載っている番号にがんばって英語で電話をするところから始まるんですけど、そうするとそのギャラリーに行けと言われて、そこでチケットを買うと、初めてそこに会場の地図が載っている。警察の規制が厳しかったんですね。それで、その地図通りに車で行くんだけど、そこは真っ暗な砂漠の中で、本当にやっているのかと不安になってきた頃にようやく小さな明かりが見えて、音が聞こえてきて、凄い数の人が集まっている。その感覚が探検みたいで凄く楽しかったですね。


TOWA TEI with BAKUBAKU DOKIN「Wordy」Music Video
Q. いまでは東京にも色んなクラブがあって、ネットとかですぐに調べて遊びに行けちゃいますですが、当時は違ったんですね。

増田:そうですね。当時日本にはレイヴ文化もなかったから、みんな手探りで参加していましたね。でも、簡単に目的地にたどり着けない楽しさというのもあって、回り道をすることで色んな発見や、これからどうなるんだろうというワクワク感がありましたね。

Q. 90年代の音楽を聴いてみても、ポップ感があってキラキラしているんですよね。その時代の文化に憧れがあって、自分たちがリリースする音楽にも取り入れられたらいいなと思っているところがあります。ミニマルで機能的なダンスミュージックだけだとあまり広がりのないものになってしまうけど、そこにポップミュージックの良い部分を合わせたら、良いものができるんじゃないかと。

増田:たしかにいまは時代が巡って、90年代ってキラキラして見えるんですよね。もしかしたら、tomadくんは生まれる時代を間違えたのかもしれないですね(笑)。


増田セバスチャン「Colorful Rebellion」


なぜ引きこもりが大切なんですか?

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