高い酒と安い酒【スズキナオ】

安くて、おいしい。それでいて量もある。そんな居酒屋を見つけたら、誰だってうれしくなるもの。でもちょっとまて。そもそも、安いとか高いとかってなんだっけ? 今回はスズキナオさんによるお酒の高い安い考です。
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

「安い」という喜び

居酒屋に入って短冊メニューを見渡してみたらおつまみがどれも安い。チューハイが300円を切っている。そういうような時に「おお! 安いですねこの店」と言って喜ぶ。そしてさらに、どのつまみも美味しくて量もケチケチしてなくて大満足、美味しいお酒が飲めた!というような感じであれば、「いやー!本当に安くていい店だったなー!」と、お会計の後にまたはしゃぐことになる。

そのように、私は酒を飲む時に「安い」ということをかなり大きな価値基準にしている。大衆酒場が好きな人だったら「あの店、安いよね!」っていうのは褒め言葉としてよく使っていると思う。

機内のビールは安い?高い?

だが、もちろん、「チューハイが250円だから安い」、「生ビールが600円以上なら高い」、というような紙に書いて貼っておけるような基準が存在するわけではない。安さと高さは「この内容にしては安い」、「これだけでこの値段は高い」というその都度の判断になる。

例えばLCC、格安航空会社の飛行機に乗ると、飛行機代が安く抑えられている分、機内サービスが全部有料だということがある。機内で缶ビールを注文したら500円かかる。コンビニで買う倍の値段ということになる。

だが考えて見て欲しい、普段自分が過ごしている地面の上空数千メートルをすごいスピードで飛行しながら飲めるビールが500円である。かなり安いでしょ! 席によっては窓から陸地や海や一面の雲が見えたりして、それでこの価格。1缶1,500円してもいいぐらいだ。飛行機を「空中移動式居酒屋」と考えれば、驚きのリーズナブル価格と言えるだろう。さらに、なんと、目的地に連れていってくれるのだ。

そういう意味で、私は大型フェリーこそ最高の居酒屋だと思っている。空中居酒屋の最大の短所である狭っ苦しさがなく、広い船内歩き放題。好きな場所に陣取って思い思いのスタイルで酒を飲むことができる。この「水上移動式居酒屋」、私のこれまでの経験ではお酒やおつまみの価格も地上とそれほど変わらない。缶ビールもスナック菓子もせいぜい地上より50円高いぐらいである。それで海が見放題。そしてこの居酒屋もまた信じられないことに、勝手に目的地まで連れていってくれるサービス付きである。

と、安い高いって本当に考え方次第だよなと思うのである。

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“よむ"お酒

パリッコ,スズキナオ
イースト・プレス
2019-11-17

この連載について

初回を読む
パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!

スズキナオ /パリッコ

なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、...もっと読む

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