期限は自分で決める
段取り上手・段取り下手を分けるのは、ほんの少しの考え方の違いです。段取り力が高い人に共通するのが、仕事の期限は自分で決めるという姿勢です。締め切りまで「あと何日かしかない」という状況のときと、「まだ何日もある」というときとでは、どちらがやる気が起きるでしょうか。
私は小学生のとき、クラスで一番のデブで、その上勉強も全然できず、塾を転々とする日々を送っていましたが、それでも成績が上がることはありませんでした。夏休みの宿題はいつもギリギリ。いや、間に合わなかったことも何度もありました。
そんな私ですが、今はたくさんの仕事を日々こなしています。こうして本の原稿を書くことも私の仕事の一部であり、全てではありません。では私は根本的に変わったのでしょうか。到底そうとは思えません。私は自分がいかに怠け者かを知っています。「ラクをしたい」といつも思っています。そんな私が、こうして本を通してみなさんに段取りがうまくなる方法をお伝えさせていただいているのは、時間を利用して自分を動かすことがうまくなったからだと思っています。
まずは大前提として、私たちの脳は、一定の緊張感があるときのほうが集中できると言われています。 試験でもたっぷりと時間があると中だるみしてしまいますが、時間が足りないかもしれないと思えば、集中せざるを得ない状況に追い込まれますよね。永遠に休みの日々が続く気分になる夏休みのように、時間の制約もなく、いつやってもいいという状況だと、なかなか自分にスイッチが入らないのは自然なことなのです。
ですから、私は仕事を引き受けたら、締め切りや納品の希望を相手から聞き出した上で、自分で締め切りを決めるようにしています。そうすることで主体性が生まれるからです。
つまり、誰かに与えられた仕事は、最初はまだ「自分ごと」ではなく「他人ごと」なわけですね。ですから、私のように意志力が弱い人にとって効果的なのが人との約束です。「推進力」を生んでくれます。相手と約束することで、目の前にある仕事が、相手と自分にとって「私たちの」仕事に変わります。
例えば、「納期は1週間後でいいよ」と言われれば、4日で仕上げることをイメージします。そして、その完成までのプロセスを明確にしたら、「4日後に一度仕上げます」と宣言しておく。宣言することで、4日後に仕上げるための具体的な段取りを考えるスイッチがオンになります。長期のプロジェクトであれば特に中だるみしやすいので、1週間単位の具体的で小さなゴールを作っていって、それを相手に伝えてしまいます。
もちろん無理をしてはいけません。どう考えても無理なのに、「やります!」と宣言して、結局その約束を守れなかったら、「なんだアイツは口だけだな」と思われてしまいます。ですからなんでもかんでも宣言してしまえばいい、ということではない点は理解してください。
もちろん突発的な出来事などによって自分が設定した締め切りをどうしても超えてしまうことがあれば相手に伝えますが、それでも相手の希望よりは早く仕上げることができます。時間がありすぎるから、時間はなくなってしまうのです。締め切りを意識して仕事をする場合と、それを感じずに仕事をする場合では意識の強さが変わります。限られた時間しかないとなった場合は、私たちはそのなかでできることを真剣に取捨選択するようになります。
200ページを超えるような本を執筆することは、1日では終わりません。50項目からなる本書の場合は、1週間で10項目書くと決めて、5週間で仕上げることを目指します。そう決めることで、時間がないならば無駄を削って取り組めるようになるのです。
ぜひ、自分が動かざるを得ない時間の使い方をしましょう。
~observe the deadline~ 締め切りを守る
また、期限を自分で決めるために”必要な心得”があります。
それは、
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