ワタナベアニです。前回はブラジルからお届けしました。ホテルのネット状況が悪いとか理由を付けて、仕事をサボろうと思っていたんですが、2019年ですもんね、かなり高速の回線が来ておりまして、観念しました。
LAで撮影を終え、サンパウロでの撮影へ。日本から北米、南米の大移動でした。ブラジルでの撮影も終わり、ホッと一息つけたのでポートレートを撮ることにしました。
ちょっとおかしいんですけど、仕事でモデルを撮った後の息抜きに人を撮ってます。シェフがクタクタに疲れて家に帰ってきて、自宅で料理をするようなものでしょう。たとえに切れ味がないので伝わらなかったとは思いますが、まあそんな感じです。
スタッフと食事に行くことになりました。俺はカメラと黒布とパーマセル(粘着テープ)をスーパーのビニール袋に詰めて出かけます。どう見てもランチに行く格好ではありません。
レストランのテラス席で食事を終えると、おもむろに壁に黒布を貼ります。食事中に光の入り方がベストな位置は決めていましたが、そこに店のオーナーがやってきたので「写真を撮りましょう」と言って撮ります。無断で壁に貼ったんですけど、オーナーが撮れてしまえばこっちのものです。
店内にいて目星をつけていた男性を呼び、黒布の前に立ってもらう。さらに人を呼び、一人につき数枚だけシャッターを切って、次々に撮っていくと、クライアントやスタッフは「また始まった」と呆れた顔で見ています。
いつもいい写真が撮りたいとは思っているけど、撮れなくてもいいんです。言葉も通じない、知らない誰かと一瞬だけ出会う。それがとても楽しいから。
写真を初めた人の多くは、人にカメラを向けるのが難しいと言います。でも慣れてしまえばどうってことはありません。相手に失礼にならなければ、カメラを持った旅人にみんな笑顔を向けてくれます。
旅の思い出が名所旧跡の看板だけ、っていうのも寂しいですから、できれば出会った人を撮ってみてください。楽しいですよ。
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