過保護や過干渉、トラウマ、敏感さ。「自分がない」人になる要因とは?

「敏感気質(HSP/HSC)」の第一人者・長沼睦雄先生が10代(と、そして大人)に贈る、心の疲れをラクにする方法。朝起きると「また一日が始まる」と、どんよりした気分になっていませんか? 人間関係、勉強、家族、容姿…ストレス社会で生き延びる技術を紹介します。『10代のための疲れた心がラクになる本』をcakesで特別連載!(毎週火曜・金曜更新)

「自分がない」人

 心のトラブルをかかえてクリニックに来る思春期の人たちに、ぼくは聞きます。「自分ってなんだと思う?」と。
「いやあ、たくさんあります。だから簡単には答えられないです」という答えが多い。
「では、自分のいいところを挙げてみて」と言うと、言葉に詰まります。悪いところはたくさん言えるのですが、いいところが言えない。
 こういう人は、自我がうまく形成されていません。だから、自分の心の境界線もよくわからないのです。

 なぜそうなってしまっているのか。
 生育環境で、自我をうまく育てることができなかったのです。
 原因としては3つのことが想定されます。
 一番目は、過保護、過干渉で育ったケース。
 二番目は、幼いときに心に深い傷を負うようなトラウマ体験(虐待、ネグレクトなど)をしていて、それを引きずっているケース。
 三番目は、もともと気質的に敏感で人の気持ちを読みとりやすいというケース。
 どうしてそうなってしまいやすいのか説明します。

過保護、過干渉の場合

 幼児期に何かをやろうとする前に「○○ちゃん、これをやりなさい」「あれをやりなさい」「あなたにはこれが合うと思うよ」と、親が先回りして道をつけすぎてしまうと、それが自分自身のやりたいことなのか、親から言われるからやっているのかがわかりません。
 成長の過程で反抗期を迎えて、「自分はそうしたいんじゃない」と言えるようになる子はいいのです。それが言えないまま育っていくこともあります。最近、反抗期のない人がけっこう増えているのです。
 「親が言うことが正しいんだろうな」と流されてしまいやすい人は、親の意向が自分自身の望んでいるものなのかどうか、判断ができなくなっています。それが本当の自我なのか、つくられた自我なのかの区別がつかないのです。

心にトラウマがある場合

 幼い子どもにとって、親は自分にとって生命線です。見捨てられたら生きていけません。深く心が傷つけられる経験をしていると、大事な人に対して、「自分がいうことをきかないと、見捨てられるのではないか」という強い不安を感じます。つらくても、自分が相手の言いなりになっていれば、見捨てられないで済むのではないかという気持ちが奥底にあるわけですね。
 5歳ころのことでも、ずっと心に残りつづけて、その人の生き方に影響すると考えられています。
 友だちからいじめられてもその集団から離れることができないとか、好きな人から暴力をふるわれるなどのひどいことをされても別れることができないという人は、トラウマ的なものの影響が心にかげを落としていることがほとんどです。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

「敏感気質(HSP/HSC)」の第一人者・長沼睦雄医師の最新刊、好評発売中!

この連載について

初回を読む
10代のための疲れた心がラクになる本

長沼 睦雄

「敏感気質(HSP/HSC)」の第一人者・長沼睦雄先生が10代(と、そして大人)に贈る、心の疲れをラクにする方法。朝起きると「また一日が始まる」と、どんよりした気分になっていませんか?人間関係、勉強、家族、容姿...ストレス社会で生き...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

z_k_hsp 主に10代のHSPさんへ #HSP #HSC 25日前 replyretweetfavorite

restart20141201 "「自分がない」とは、危険なことなのです。" 25日前 replyretweetfavorite