それぞれの酒観【パリッコ、スズキナオ】

前回よりお送りしている「祝!連載10回」対談。今回はその後編。それぞれが書いたエッセイの感想から始まったのですが、思いがけず社会派な一面もチラリ。でも……やっぱり飲むんですね。
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

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客と店員の境界線

パリッコ(以下パリ) ナオさんのエッセイ「気になるあの店員さん」に出てきた、渋谷の酒場「細雪」の、店員っぽいお客さん。僕ももちろん接客されたことがあって、「ははは。いたいた!」なんて読んでたんですけど、ふと、よく行っている有楽町の地下にあるちょっと怪しい雰囲気の酒場で、この前自分が他のお客さんのビールとかをサーバーから注いでたことを思い出して、「やば!」と思いました。

スズキナオ(以下ナオ) もうすっかりなっちゃってたと。

パリ まだこっち側のつもりではいたんですよ。

ナオ もうあっち側ですよ!

パリ でしたね。忙しそうなママに「ちょっとお願い!」とか頼まれて、常連さんがそういうことしてるのはよく目にしていたので、「ついに自分も!」って嬉しくなっちゃって。

ナオ そうか、手伝わせてもらうのってどこか嬉しいんですよね。

パリ 認められた! みたいなね。顔を覚えられるのの最上級というか。

ナオ ね。信頼されないと任されないですから。レジの会計なんて相当ですよ。

パリ 僕はその店ではレジはまだなんですけど、基本一番の常連さんが全部の席の伝票つけてるんで。

ナオ ははは! 常連さんすごいなー。それって、もちろん無給?

パリ 無給どころかマイナスでしょう。だって自分も飲んでるんだもん。

ナオ どこかでさ、「あの、ちょっとさすがにこれはもう店員だと思うんですけど、お給料って……」とはならないのかな。

パリ その瞬間「二度と来ないで!」

ナオ はは!「そんなつもりで頼んだじゃないんで!」ってピシャリと。

パリ それを見て他の常連が「さすがママ」。宗教に近い。

スピード出世

ナオ パリッコさんの「酒場で出会った不快イ話」もおもしろかったです。驚きの展開だった。

パリ どうもです。本当にあれだけの話なんですけども。

ナオ いやー、色々な酒場に通ってないと出会えない、奇跡のイヤな場面ですよ。単純に疑問なのが、そういう男性と一緒にいる女性ってどういう気持ちなんですかね。

パリ 出来事をあらためて思い返してみるに、あの男性は、店員さんに対してきっちりクレームを言える自分、それを水に流せる自分、どちらにもナルシズムを感じてる気がするんですよね。

ナオ そうか、怒ってかっこいい、さらに許してかっこいいと。

パリ 人間が大きいとすら思っている可能性がある。

ナオ うぜー!

パリ で、男女問わず同タイプの人なら、気が合うのかも。

ナオ もし彼女にそれを見せたいとかだとしたら、なんとか他の形で頼むよ!

パリ うんうん。カウンターに片手ついて、バッとジャンプして厨房内に入っていって、焼鳥焼くのを手伝いだすとか。

ナオ そっちの方がめちゃくちゃかっこいいじゃないですか!

パリ 超非常識という点を除いてはね。

ナオ 客だったのがいきなり店員さんに。

パリ スピード出世! さっきの話とつながりましたね。

臨機応変な酒場力が必要な時代

ナオ しかし真面目な話、そういう場面って、臨機応変な酒場力が問われますよね。厨房を見たら忙しそうなわけですよね。「この店、混んでるねー! 」「活気あるね」とかポジティブに受けとめて、他に何か早く出そうなものがあるか聞いてみるとか、そのくらいの対応力は養っておきたい。

パリ 本当ですよ。

ナオ でもあれなのかな、「今すぐ焼き鳥食わないと死ぬ!」みたいな、なんかそういう日だったのかな。ものすごく時間もなくて。

パリ コンビニ行け! レジ前に売ってるよ!

ナオ やっぱりフォロー不可能。

パリ 悲しいことに、世の中にはクレームチャンス待ちの人ってけっこういそうですよ。

ナオ 店員さんの上に立つことですっきりしたいみたいな。

パリ なんか真面目みたいな話になっちゃいますが、SNSで何かミスを犯した人を袋叩きにするのとかも同じ現象っぽい。

ナオ そうですね。「チャンスがあればボコボコにしてやりたい」っていう。

パリ そう考えると我々の「チャンスがあればちょこちょこ飲みたい」のほうが、まだ安全な思想かもしれません。

ナオ うんうん。そもそも、ギスギスしたりするんじゃなくて、ほんわりするために飲みにいってるんじゃないの!? っていう。

パリ まさに。

ナオ まあそれぞれの酒観があるか。

パリ ですなー。

ナオ これからも、連載しつつ考えていきたいですね。

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“よむ"お酒

パリッコ,スズキナオ
イースト・プレス
2019-11-17

この連載について

初回を読む
パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!

スズキナオ /パリッコ

なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、...もっと読む

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