「ブス合コン」は場数である
はじめての彼氏に振られた私を、ヤリマンの友だちが慰めてくれた。
「合コンをしよう」
そう言って誘ってくれた。
何を隠そう人生初の合コンだ。大学に入って、すぐに彼氏ができたので、合コンに行く必要がなかったのだ。
誘ってくれたのは、同じスキーサークルのふたりだった。
目力が強く八代亜紀似、足は細いのにスタイルはイマイチ、だけど男が途切れないA子。
そして、日本人では物足りず、米軍兵士命で横須賀基地で声をかけられるのを待ち続けるB子。B子は米軍兵士のイチモツがでかすぎて、大事なところを切ってしまうという逸話つきの女だ。
A子もB子も「本命の彼氏」という概念はなく、いつも彼氏が数人いるような女どもであった。そして、どちらも決して美人でもないし、かわいくもない。
合コン参加においては、それぞれ1回は幹事をやること。そういうお達しが出た。
忘れもしない大学2年の7月の土曜日は、かわりばんこに幹事をしつつ、毎週合コンを執りおこなった。
まずは、私が幹事の合コン。
当時、バイトで塾の講師をしていたのだが、その正社員の男性たちに声をかけた。
「○○先生……わ、私、一応、女子大生集められるんですけど……飲みませんか」
ブスのくせに、男性の心をくすぐるキーワードだけは知っていたので、「女子大生」という単語を連発して即開催が決まった。
3名対3名で執りおこなった。
合コンとは難しいものだ。私が声をかけた幹事の男性はなかなかのイケメンではあったが、そのほかの2名が、イマイチだったのだ。見た目だけではない、会話もだ。
合コンの途中で、米軍B子はたばこを手に取り吸いはじめた。 「あ……この後、反省会だ」
私は合コン中にもかかわらず、震えが止まらなかった。
その後、A子主催、B子主催の合コンが開催された。 わかったことが、ひとつある。
私、A子、B子の3人はとても相性がいいのだ。体の相性ではない。男の趣味という点で相性がいいのだ。
私……草食系男子好き。星野源みたいな
A子……ブサイク好き
B子……米軍
絶対にかぶらない。なので、ケンカがない。もめることもない。
私たちのあいだでは、当日お持ち帰りされるのはやめよう、という暗黙のルールがあった。全員ブスなのに。一応、軽い女と思われたくなかった。
当日は貞操を守り抜け。やるなら後日。
ヤリマンのくせにこのルールだけは徹底していたA子とB子だった。
たいてい1週間後に、合コン後の感想発表会的なものを開いていた。
「結局、あのあと1回会って、やったんだけどイマイチでさ」
「誘ったのにごはんにも行けなかった。くそ」
「あのときのアシストは私たちが悪かったね。もっとA子のことほめるべきだった」
という、反省会だ。
多いときで週1以上、最低でも隔週の合コンをこなした。
おそらくこれまでの人生で100回近くの合コンに出席したと思う。彼氏がいるときは行かないので、一定期間に集中している。
ここでまた編集者からの質問だ。
【質問】 100回の合コンのうち、次回のデートまで持ち込めたのは何人ですか?
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