ピュア

好きな人ができましたが、事情があって性交できません

SFマガジン6月号に掲載された小野美由紀さんの「ピュア」を特別公開します。タイトルの通り、ある純粋な性と生を描く遠い未来の物語。
「私」ことユミは学園星ユングに暮らす「普通の」女の子。女性はこの時代、国を守るために子供を産むを使命づけられている。ただしそのためには、地球に暮らしている男たちを狩り、文字通り「食べる」ことが求められていた。
私はエイジくんを好きになってしまった。だけど。

 人類で最初に男を食べたのは、キャロラインと言う名のブラジル系アメリカ人モデルである。

 彼女は性交後に恋人の頭部を丸ごと食べ、その後も出会った男たちの身体の一部を次々に食べながら逃亡した。

「子宮が命令するのよ」

 彼女は獄中でそう語った。

「頭じゃないの。子宮がそういうのよ—男を食べろ。食べて子供を作れ、って」

 当時の警察はキャロラインの言い分を異常性欲として片付けたが、その後意外なことが判明した。キャロラインは妊娠していた。それも5つ仔を。  獄中で出産したキャロラインはその後も男を食べたいと訴え続け、看守を7人、心理カウンセラーを3人食べ、最終的に9人の子を産んだ。アメリカの出生率が0.3を切っていた時代の話だ。

 恋人を愛してなかったのか、と言う問いに彼女はこう答えた。

「愛してたわよ!……彼だけじゃない。食べた奴全員、いい人だったわ。だから食べたの。食べなきゃいけなかったのよ」

                ※

 私はこうして、エイジくんの元に通いはじめた。彼は最初、警戒していたけど、私が彼を食べる気がないということが分かるとすぐにそれを解いた。

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SFマガジン /小野美由紀

SFマガジン6月号に掲載された小野美由紀氏の「ピュア」を特別公開します。タイトルの通り、ある純粋な性と生を描く遠い未来の物語です。

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sanogorou 次は5月29日 4ヶ月前 replyretweetfavorite