第20回 なぜ省エネルックは失敗して クールビズは成功したのか — コミュニケーションの戦略的一貫性 — 

『100円のコーラ』シリーズの完結編『100円のコーラを1000円で売る方法3』発売!!これを記念して、第1弾『100円のコーラを1000円で売る方法』を完全公開。

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「みなさん、おはようございま〜す♪」
 いつもとは違って、明るく大きな声で朝の挨拶をする久美。すでに仕事をはじめていた商品企画部のメンバーはみな一斉にギョッとした顔で久美のほうを見た。部長の鈴木も目を丸くしている。
 普段の久美は、出社してもボソッとひと言「おはようございます」と言うだけで、すぐにPCに向かうのが常だった。しかし今日の久美は人が変わったようだ。席に着いても笑顔を絶やさず、鼻歌を歌いながら、仕事をはじめた。

 オフィスのあちこちで、(おい、今日の宮前さんはどうしたんだ?)(さあ? 全然わからん)(なんか気持ち悪いなあ)といったヒソヒソ話が交わされた。
 久美の機嫌がよかったのには理由があった—。その日の商品企画会議で、久美は新サービス〈社長の会計〉のマーケティング・コミュニケーション案を報告することになっていた。久美はとっておきのプランを用意していたのだ。

 会議がはじまり、久美が説明する番になった。
「昨日、広告代理店の人と、〈社長の会計〉のマーケティング・コミュニケーション案について打ち合わせをしました」
 久美はニコニコと説明を続ける。
「新商品で、何よりも大切なのは話題性です。市場での商品の知名度を一気に上げていきたいと思います」
 ここで久美はひと呼吸おいた。そして、大きく息を吸うと、「ジャジャーン」と自ら効果音をつけて発表した。
「今回、ジャニーズで一番人気のSMAPのメンバー5人総出演で、テレビCMや新聞雑誌広告を展開することになりました!」
 久美はかなり興奮気味だ。
「私、木村拓哉の大ファンなんです。仕事でキムタクに会えるなんて夢みたい♡」
目をハートマークにして一人悦に入っている久美に、みんなあきれ顔だ。与田はニヤニヤ笑いながら言った。

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100円のコーラを1000円で売る方法

永井孝尚

6月8日に40万部突破のビジネスストーリー本『100円のコーラ』シリーズの完結編『100円のコーラを1000円で売る方法3』が刊行されます。 そこで第1弾『100円のコーラを1000円で売る方法』を完全公開。勝気な主人公・宮前久美と...もっと読む

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コメント

masdaq 第21回 新商品は必ず売れない? ―― イノベーター理論とキャズム理論 —— |永井孝尚| 5年以上前 replyretweetfavorite

tanayuki 「これ、絶対無理です。こんなの着ないでしょう、普通」 5年以上前 replyretweetfavorite

takahisanagai 「楽しそうで何よりですね。ただ、はっきり言わせていただくと、これって失敗するマーケティング・コミュニケーションの典型です」CAKES連載 5年以上前 replyretweetfavorite