歴史本を書く際、どうして昭和の戦前期にさしかかると気分が重くなるのか?

昭和戦前期と同じように、今この国は変化しているのではないか? 再び大破局に向かわないためにはどうすればいいのか? 『一日で一気に学ぶ 超日本史』執筆中は、過去の日本人に「なんでそこに気がつかないのか!」「バカだなあ」「そこでやめておけばよかったのに」……などというツッコミをしながら書けた。が、いま自分も似たような社会の流れの中にいるのではないかと思うと、そのツッコミはすべて自分たちに向かって返ってくるのだ。どうしても気分が重くなるのだった。

☆大地震と改元と

これまでに何冊か日本史の本を書いてきた。戦国時代や幕末維新は、書いていて楽しい。だがいつも、昭和の戦前期にさしかかると、気分が重くなる。この国がどんな風におかしくなっていき、やがて大破局を迎えるかを、知っているからだ。

むろんぼくだけではない。日本人みんなが知っているのだけど……。

最初にこの昭和史パートを書いたのは、昭和が終わった年だ。その時、視点となるキーワードを決めた。「大地震」と「改元」。

「大地震」は、関東大震災だ。大正12年(1923年)におきたから、昭和の出来事ではない。しかし、その被害は甚大。「昭和」という時代は、この大災害の後始末から始まったのだから。

もう一つの「改元」は、当然「大正」から「昭和」への改元。昭和史のスタートにあたってそこから始めるのは、自然だ。この時は有名な「光文事件」がおきている。簡単に言うと、新聞が「次の元号は、光文!」とスクープしたため、急きょほかに用意していた「昭和」に差し替えた、というもの。当時はそれが通説だと言われていたが、その後、どうやら事情は少し違うようだとわかった。なので、今回の改訂にあたって、そこも変えてある。

それにしても……と思うのだ。その後、阪神淡路大震災、東日本大震災がおき、各地でも大きな地震が次々とおきた。現在は「南海トラフ巨大地震」「首都圏直下地震」への注意が呼びかけられている。日本列島は地震の活動期に入ったのだ。

さらに今回、「平成」から「令和」への改元があった。「平成」改元の時と異なり、「令和」はなんだから明るいムードの中での改元だ。「新元号は何になるかを当てようクイズ」なるものがあちこちで繰り広げられる世の中なんて、「昭和」から「平成」への改元時には、想像もできなかった。


まさかまた「大地震」と「改元」というキーワードが話題になっている時期に、もう一度この本を出すとは思わなかった。

昭和戦前期と同じように、今この国は変化しているのではないか? 再び大破局に向かわないためにはどうすればいいのか? 本の中では過去の日本人に「なんでそこに気がつかないのか!」「バカだなあ」「そこでやめておけばよかったのに」……などというツッコミをしながら書ける。が、いま自分も似たような社会の流れの中にいるのではないかと思うと、そのツッコミはすべて自分たちに向かって返ってくるのだ。どうしても気分が重くなるのだった。

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一日で一気に学ぶ 超日本史

藤井青銅

学校で1年間かけて少しずつ丁寧に歴史を教わったにもかかわらず、私たちが覚えているのはどれも断片的なことばかり。 アタマの中にある日本史の知識はグチャグチャにこんがらがって、全体像がちっとも分からない。ならば“ゆっくり丁寧に”ではなく...もっと読む

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saysaydodo 後段、しりあがり寿さんとのご縁について書いてます。あれからずいぶんになるなあ。感謝!→|藤井青銅 @saysaydodo | 30日前 replyretweetfavorite