書籍化しました!
“よむ”お酒(イースト・プレス)
本連載『パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!』が本になりました。
その名も『“よむ”お酒』。
好評発売中!
ひとり飲みや、晩酌のお伴にぜひどうぞ
睡眠の大事さ
酒飲みにとって、特に自分のような、基本的には毎晩お酒を飲んでいる根っからの酒好きにとって、決して軽視できないのが、「酒と睡眠」問題じゃないでしょうか。
ご存知の通り、睡眠とは人間が生きる上で必要不可欠な生理現象で、健康を保つための最重要事項と言っても過言ではありません。多忙を極めた漫画家の手塚治虫先生に比べ、何よりも寝ることを好んだ水木しげる先生がずいぶんと長生きされたという事実も、もちろん他にもたくさんの要因が関係していたのでしょうが、やはり睡眠の大切さを物語っている気がしてなりません。
僕の経験上、夜から朝までぐっすりと質の良い睡眠がとれる酒量の上限は、ビールなら350ml缶2本、缶チューハイなら500ml缶1本。個人差はあれど、驚くほど物足りないというか「飲んだうちに入らない」くらいでないと、ちゃんとした睡眠は得られないと感じるのが実際のところです。 が、文字通り飲んだうちに入らないくらいの量で、いやしい酒飲みである自分が満足できるはずがなく、飲んだうちに入りすぎるくらい飲んでしまうのが毎夜のこと。これじゃ身体にいいわきゃないよ。
三大欲求に勝る酒欲
お酒をじゅうぶんに摂取してから入眠にいたるまでの過程は、驚くほどスムーズ。ときに飲んでいる最中からうとうとしだしてしまうこともあるくらいで(自分は特に)、記憶もおぼろげに、気づけば家のベッドのかけ布団の上で大の字になって寝ていた、なんて経験は、多くの酒飲み共通のものでしょう。
叩いても引っぱっても起きないようなこの昏睡状態、はたから見るとぐっすりとよく眠れているようですが、絶対にそんなことはありません。だって起きたとき、寝る前より確実に疲れてるんだもん。
喉はカラカラ、体バキバキ、頭ふらふら。きっと寝ている間、体を休めるより先に処理しないといけない優先事項が体内にありまくるのでしょう。「み、水……」とうめきながら布団から這い出し、ガブガブと飲むコップ一杯の水のうまいこと! 「酔い覚めの水は甘露の味」なんて言葉がありまして、そういえば甘露ってなんだっけ? と思い、今調べてみたところ「中華世界古代の伝承で、天地陰陽の気が調和すると天から降る甘い液体」だそう。なんだか想像以上にすさまじい液体だったわけですが、うん、確かにそのくらいうまいわ、あの水は。
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