こんな「省エネ」ができる人はうつになりにくい
うつになりにくいタイプというのはあります。
どちらかというといい加減で、マイペースな人です。
そして、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で新垣結衣さんが演じた役のように、「小賢しい」くらいがいいのです。
あのキャラクターは、仕事をする上では「報酬がこれくらいならこういうやり方をして効率を上げよう」というふうに、計算もちゃんとしていました。あれはエネルギー量の計算だと思います。それができないと何でも全力でやってしまい、エネルギーを使いすぎてしまうので、計算は必要です。
かつての私は、すごく生き急ぐタイプでした。そして仕事に慣れてきたり、ちょっといいことが続くと自分を格好よく見せようとしたりして、ものすごくムダなエネルギーを使っていました。そして、そういうときに何かトラブルに巻き込まれるか、病気になります。それでポキッと鼻を折られるのです。
今も計算がうまくできないのでオーバーワークになってしまいますが、インフルエンザで寝込んだ後に東京で取材を受ける予定があったので、「ここに全力を使うために、いかにそれ以外のことを省エネするか」という実験をしてみました。
どんなことをしたかというと、羽田空港の動く歩道に、じっと立ったまま乗ってみたのです。普段は絶対にそんなことはしないでタタタッと歩いていくほうなのですが、目をつぶってゴールまでゆっくりしようと思ってそうしてみました。
そうしたら、それで人に迷惑がかかることもないし、「この時間、ちょっとゆっくりできる」と実感しました。体力を温存することができたのです。
歩くスピードも、今回は絶対に自分が一番楽なペースで歩こうと思いました。スマホを持ってキャリーケースを引いて歩いていれば、まわりは「都内の人じゃないな」とわかってくれるから配慮もしてもらえるだろうと、本当に亀のようなペースで歩いてきました。
そうしたら、疲れが全然違うのです。今まで自分はどれだけムダにエネルギーを使ってきたのだろうと思いました。
東京での仕事というミッションのために、いかに早く体を回復させるか、その中でどれだけ得られるものがあるか。数日間、四六時中そういうことを考えていて、とても面白かったのです。
ミッションは大事です。ミッションという言葉からは、生きていく使命みたいな大きなものを想像する人も多いかもしれませんが、それとは別に、私たちの日常には短期的なミッションが次々とやってきます。
それを忘れないこと、「今のミッションは何だろう」「自分がしたいことはなんだろう」と意識することが大切です。
エネルギーをそこに注ぎ、それ以外は省エネをしないと心身ともに疲れてしまいます。何にでもエネルギーを注ぐわけにはいかないのです。
公務員や会社員の方で、ずっと安定的にお金をもらうということが一番だと思っている人なら、「定年までいかにリスクを減らして、エネルギーを使わずに生きていくか」がポイントになるので、どうしたらそれができるか考えいけばいいわけです。
今は何が必要で、どこにエネルギーを注ぐべきかを常に考えていれば、うつにはなりにくいものです。
そこに集中していて、無駄なことにはエネルギーを使わないからです。
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