新店舗「問tou」のオープン(4/18)が間近になってきましたが、決まってないことだらけで不安が毎夜押し寄せてきます。果たして色々と間に合うんでしょうか。きっと間違いなく間に合わないのでしょうが、そんな時は仕方ないですね。できる範囲で運転していこうと思います(始まる前から諦め気味)。
左:平田 右:大工の至くん。話し合いながら構造を決めていく。
設計図のない店
ほぼ毎日、工事の現場に行く。進捗状況を確かめて、次はどこをどうするか?を話し合って、進めてもらうためだ。「うん?」と思った方もいるかもしれない。新店舗「問tou」には店舗工事の設計図がない。あるのはわたしの中での抽象的なイメージだけだ。
今から8年前の2011年、現在の「わざわざ」の実店舗をハーフビルドで建てた。当時貯金していた600万円を使って、友人の大工さん、隣の水道屋さん、電気屋さんに、できる範囲の工事をして欲しいと声を掛けた。電気、水道を通して、基礎を作り、屋根をかけて外壁を貼ったところで用意したお金は底を突き、あとは10ヶ月かけて夫婦で作った。天井を貼ったのも自分、壁に断熱材を詰め、石膏ボードを貼り、珪藻土を塗ったのも自分。作りたい場所に棚を作り、壁を立て、外壁を塗装し、できることは全てやった。自分の脳内に描いた店を自分の手で作るのが楽しかった。
時は過ぎ、お金が溜まる度に、店内の内装工事をした。イメージ図を描き、必要ならば電気屋さんに電話をかけ、大工さんに発注し、説明し、話し合い、自分たちも手伝いながら、工事を繰り返した。
あれから8年が経つ。一緒に工事したプロの仲間がどんどん増えた。大工さん、基礎屋さん、板金屋さん、塗装屋さん…。
「おっ、またわざわざが工事するのね! 行くよ!」
何かがあったら直接電話をかけて修理を頼む。パンを差し入れたり、家族の話をしたり、工事の最中に会話した数が、信頼に積み重なった。
むっちゃんと至くん。話し合いながら工事を分担する。
役目はイメージを共有すること
中でも大工の至くんは付き合いが長い。「はる香さんは大体で大雑把なのに、こういうところは超細かいんだよなー」と笑う。図面を書いて「こんなイメージで」と渡せば、ざっくり「こんな感じか?」とイメージを捕まえてくれる。長年一緒にコンビを組んで工事をしてきたお陰で、「わざわざ」はこういうのが好きで、こういうのが嫌だということが通じるのがとんでもなく早くてありがたい。
今回は、こちらも付き合いの長い木工作家の後藤睦さん(むっちゃん)にも工事に参加して貰った。カウンターを美しく仕上げてもらうなど、家具工事を担ってもらった。現場合わせでコロコロ変わる仕様に戸惑いながら、付き合いの長さも相まって「ねぇ! 今聞いてなかったでしょ!」と笑う。うん、聞いてなかった。「むっちゃんの好きなようにやってくれたらきっと好きだから、レイアウトだけこうしてくれれば後は任せるから」と言って、話を聞かないようにする。できるだけ任せたい。でもイメージだけは伝えたい。
搬入される予定の家具や商品をスマホで見せながらイメージを語る。
「大きな扉に阻まれた後に、ドカーンと開放感のある景色をとっておきで見せたい」
こんな店が好きで、こんな風にしたい。色は黒やグレー。石、鉄、木など、素材はオールミックスで多国籍的で、「どこどこのような」が存在しないようにしたい。ミクスチャーにしたい。そういうイメージだけはみんなにひたすら伝えていく。伝わったかわからないので、現場に毎日工事の様子を確認しにいって、明日の工事を打ち合わせる。その繰り返しで内装工事ができていく。
結局、細かい話は大工の至くんもむっちゃんも、ゴトウ店長に相談するようになった。平田に聞いても、好きにしていいよしか言わなくてアテにならない。みんな、飲み込むのが早い。細かいところはいいようにやっておいてください。わたしはみんなのいいがいいと思います。です。はい。
アメリカのアンティークの家具をメインに据えた。めちゃカッコいい。
予定調和で終わりたくない。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。