上司ではなく、社会に評価される価値がわかってる人は強い

小野直紀さんと嶋浩一郎さんによる『会社を使い倒せ!』刊行記念対談、第3回。会社の中で、辺境という立場から自由な発想で課題解決に取り組んできたお二人。でも、会社を辞めて独立するという選択肢もあるなかで、あえて会社に残ったのはなぜなのでしょうか? 会社に所属することの魅力について語ります。cakesにて公開中の本編とあわせてどうぞ!(司会:ブックライター 上阪徹)

ずっとそこにいるんだけど、いっぱい仕事が来るやつ

—辺境なんて興味深いキーワードも出てきているんですけど、端的に嶋さんや小野さんみたいなふうになるにはどうすればいいですか?

「やることはちゃんとやっとくっていうのは大事」と語る嶋浩一郎さん

嶋浩一郎(以下、嶋) 今日は元上司が後ろで聞いてるんで言いにくいんですけど(笑)、意外にちゃんと見積もり書くのも好きなんですよ(笑)。ちゃんとお金を稼ぐことに対して貪欲だったりもして。だから、自分が興味がある方向で会社に貢献できてればいいんじゃないかな、と思うわけです。やることはちゃんとやっとくっていうのは大事です。

—でも、誰にでも「お前会社やんない?」みたいな声はかからないわけで。なんで「会社やんない?」みたいな声がかかったんですか。

 どう……どうなんだろう。でも、ずっと辺境の部署にいつづける作戦!っていうのが功を奏したと思いますけどね(笑)。なんだか知らないけど、ずっとそこにいるんだけど、いっぱい仕事が来るやつがいる、みたいな。

—目立ちますよね、そうするとね。

 そういうポジショニングを考えて。あざといんだな、そういう意味では(笑)。

小野直紀(以下、小野) でも、嶋さんのまわりにいらっしゃった有名な方々は、次々に会社を辞められたんですよね。それで、おそらく稼がれている。言ってみれば独立したら、博報堂に上納金として吸い上げられる分がなくなる分、絶対儲かるんです。本来的にお金的なことだけで言えば、嶋さんも会社辞めた方が絶対得な人なんですよね。なんで辞めないのかっていうのは、すごい僕は気になってて。


異なる価値観をリスペクトする文化

 いや、あのね、会社を使い倒すっていう意味で言うと、それはすべての会社に言えないかもしれないんですけど、博報堂はすごいいい環境だと思っているんです。オックスフォードの昔の英和辞典とか英英辞典とかで「クリエイティビティ」の定義とかを調べると、「異なる価値観が掛け算することで生まれる新しい価値」みたいなことが書いてあるんですよ。
自分が本屋やってるのも、世の中にはいろんな見解があって、いろんな人がいろんなことを意見として言ってますっていうのが本屋の集大成だと思うんですけど、博報堂のいいところは、異なる価値観をすごいリスペクトしあう文化があることなんです。「粒ぞろいより粒違い」って言葉もある。それが今から思うに、クリエイティビティのある土壌だとほんとに思っていて。
だから、会社を使い倒すって意味より博報堂使い倒すって意味において、ですけど、異なる、優れた価値観を持っている人たちが多様にいる環境が手に入るっていう、この環境は失いがたいことだと僕は思うわけです。結局アイデアって、自分一人で生まれたりしない。もちろん、例外もいるんですけど、多くはそうじゃない。


左:嶋浩一郎さん/右:『会社を使い倒せ!』の著者・小野直紀さん

 だから、小野くんがそういうこと考えてるんだって朝会って話して、また昼に違う打ち合わせすると博報堂の若いデザイナーがそんなことと考えてるんだと思って、夕方会うやつ、営業の博報堂の人が、なるほどそれ面白いねーって話をずっと聞いてると、アイデアが触発されるわけです。この環境はすごい捨てがたいから、辞めてないんじゃないですか。あとね、よく昔言ったのは、気が狂ってるぐらいすごい先輩がいっぱいいるわけですよね。「ヤバい、この人」っていう人が、辞めちゃった人も含めていっぱいいるんですけども、それがいつなくなるんだろうなって思ってたら、今は年下の子がヤバいやつがいっぱいいて。いい環境だなと思うんですよね。

—その嶋さんが言うヤバいやつってどういう人なんですか。

 やっぱ気が狂ってる子ですよね。

小野 (笑)

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会社を使い倒せ! (ShoPro Books)

小野 直紀
小学館集英社プロダクション
2018-12-20

この連載について

初回を読む
僕らはこうやって会社を使い倒した—小野直紀×嶋浩一郎対談

嶋浩一郎 /小野直紀

広告会社でモノづくりをするという異色のプロジェクトを実現した博報堂・小野直紀さんの著書『会社を使い倒せ!』。発売を記念して下北沢の本屋B&Bで行われたトークイベントの模様をcakesにて公開します。ゲストにお迎えしたのは、同じ...もっと読む

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ykato_0105 異なる、優れた価値観を持っている人たちが多様にいる環境が手に入るっていう、この環境は失いがたいことだと僕は思うわけです。  小野直紀×嶋浩一郎対談 https://t.co/suFDoJLTwI 7ヶ月前 replyretweetfavorite