肩書に縛られたビジネスをやってる場合じゃない

小野直紀さんと嶋浩一郎さんによる『会社を使い倒せ!』刊行記念対談、第2回。ともにメインストリームではなく辺境からキャリアをスタートし、結果的に、これまでとはまったく違う広告のアプローチにたどりついたお二人。今の時代、さまざまな課題を解決するためには、もはや肩書にとらわれている場合ではない、と語ります。cakesにて公開中の本編とあわせてどうぞ!(司会:ブックライター 上阪徹)

この行列には並びたくない

小野直紀(以下、小野) 2008年って、インターネットとかSNSとかっていうのがバーッと広がって、広告も含めて、広告業界を変えようとしていた時代なんです。

嶋浩一郎(以下、嶋) ソーシャルメディア元年だね。TwitterとかFacebookが日本に上陸した年。

小野 まさにそうです。で、2009年にiPhoneが登場するみたいな。そのときに僕は空間プロデュースの部署にいて、「これからはリアルだ」って逆説的に言われてたんですね。僕からすると、広告会社に入って最初に会った、親みたいな人からです。それで、「リアルなのか」と思って信じたんです。だから、自分が辺境にいるってことはわかってたんだけれども、なんとなく違う未来を盲目的に信じてやっていくっていうことを3年ぐらいやった頃、カンヌの広告祭に行かせてもらうことになって。世界中の広告を評価するアワードなんですけど。


『会社を使い倒せ!』の著者・小野直紀さん

小野 そのときに現地で見たのが、まさにSNSみたいなことがすごい使われた広告、リアルなイベントみたいなものが使われた、新しい広告的なことでした。嶋さんがやられてたような。で、なんかこれ、意外とすごいし、やってきたことが生きるんじゃないかって思って。それで、広告面白そう、と思ってコピーライターの転属試験を受けるんです。結局何をメッセージしたいか、何を届けたいかっていうのが重要なんだなと思ったときに、言葉が大事なんだな、と。自分は言葉に対してコンプレックスもあるし、よくわかんないからコピーライターになったっていう、そういう経緯があるんですよね。

—それで、辺境からメインストリームの広告の世界に入って、どんな印象を持ったんですか?

小野 なんかめちゃめちゃ難しくて。いろいろ考えるんだけど、面白いことも思いつかないし。なんでこんな面白くないんだろうっていうのと、一方で(そこには)面白いことできる人がいっぱいいたんですよね。あ、この行列並びたくないな、と思いました(笑)。


社内で辺境でも、外から見れば博報堂の人

 なるほど、面白い(笑)。なんか自分もね、クリエイティブディレクターになって広告を作るんだけど、この辺境から絶対に離れてはいけないと思ったんですよね。絶対そっちのほうが得すると。行列に並ばなくてもいい、ここにいればと(笑)。
だから、PRの仕事とか広告を作る仕事もやりつつ、雑誌を作ったりもできた。自分ははじっこで移動しないんだけど、そこになんかどんどんいろんな、本来PR局がやるはずじゃなかった仕事もどんどん持ってくるみたいなことのほうが、ポジションとしていいな、っていうふうに思ってたんですよね。

—でも辺境にいると、社内ではあんま居心地よくないのが普通だと思うんですけど。

 あ、でも社内においては辺境だけど、外から見れば博報堂の人ですよね。だから、辺境にいると、見えないところで勝手に動き回って、いろんなこと決めて、今までやったことのないような秘策とかを提案しにいけるわけです。社内でも、オールスターミーティングっていう、えらいクリエイティブディレクターの人がいる会議とかにいくと、CMのコンテとかコピーとか、プロモーションのアイデアとかデジタルのアイデアとか全部持っていくわけです。「なんでお前がコピー書いてくるわけ?」とかって言われるわけですが、「アイデア思いついたから持ってきたんですけど」みたいな。そういうことができるようになった。


この時代に、どうやったら本屋のビジネスが成り立つか

小野 嶋さんがそこをやったから、今、博報堂ではコピーライター以外の誰でもコピーを書くし、CMも考えるし、デジタルも考えるんです。CDになるのも本流じゃない人が、すごい増えた。

 高度成長期は、役職をいっぱい作ったら儲かったんですよ。だから縦割りにすれば、それでビジネスが大きくなっていったわけだけれども、僕はそれにすごい疑問を感じたんですよね。例えば、今どき本屋を経営するの、なかなか難しいんですよ。本って、売っても22%の利益しかないんです。70%出版社が持ってっちゃうんです。で、7%取次が持っていく。でも、ビールね、500円で売ったらかなり儲かるわけですよ。ね?
そうすると、この時代どうやって本屋成り立つかなって思って、ビールを売ったり、イベントやってたりするわけです。別にイベント屋をやりたいわけじゃないし、飲食店をやりたいわけではない。でも、ビールを売ったら、気分よく本を選べるかなとか、作家の人がイベントに来てくれたら、その人の書いてる本が欲しくなるかな、と。

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会社を使い倒せ! (ShoPro Books)

小野 直紀
小学館集英社プロダクション
2018-12-20

この連載について

初回を読む
僕らはこうやって会社を使い倒した—小野直紀×嶋浩一郎対談

嶋浩一郎 /小野直紀

広告会社でモノづくりをするという異色のプロジェクトを実現した博報堂・小野直紀さんの著書『会社を使い倒せ!』。発売を記念して下北沢の本屋B&Bで行われたトークイベントの模様をcakesにて公開します。ゲストにお迎えしたのは、同じ...もっと読む

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atm_02 また読んでみよう。 7ヶ月前 replyretweetfavorite