障がいってなんだろう?
こうしたはっきりと区分できない状況は、あらためて「障がい」について考え直すいい機会になるのではないでしょうか。
わたしたちは「障がい者」という言葉をなにげなく使いますが、何をもって障がいといっているのでしょう。
たとえば、「視力障がい者」といったときに、まったく見えない人、全盲の人だけを指すわけではありません。見えにくさにはいろいろあります。普通に社会で生活していくうえで支障がある見えにくさにも、いろいろなレベル、程度があります。
極端な話、アフリカのサバンナ地帯に暮らす視力が6・0くらいあるのが当たり前の部族の人たちにとって、視力1・5程度しか見えないなんて、障がいがあるとしか思えないかもしれませんね。
生活に支障があるというのは、その社会の人たちが自分たちの感覚、自分たちのものさしで勝手に決めているものです。
発達障がいも、障がい特性と呼ばれる要素がものすごく強い場合もあるし、それほどではない場合もあります。いろいろな症状をいくつもあわせもった人もいれば、そうでない人もいます。
あらゆる障がいというものは、白か黒か、0か100かとはっきり分けられるものではありません。微妙な程度の違いがあるだけ。そして、それはグラデーションの状態で「正常」といわれている人たちとつながっているのだということ。
そういう視点をもつと、障がいに対する考え方、人との違いというものに対する考え方にも深みが出てくるのではないかと思います。
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