先日、この連載の担当編集さんから「美咲さんって、義両親のことをなんて呼んでいるんですか?」と訊かれたことがあった。
それで「おかあさん、おとうさんとは呼んでいない」という話をしたところ、「それは変わってますね」という話になったので、今日は私の「相手の名前をどう呼ぶか論」について語ってみようと思う。
彼らは私の親じゃないし
私は義両親のことを「おかあさん」「おとうさん」とは呼んだことがないし、呼ぼうと思ったこともない。なぜかといば「だって絶対に違うし(彼らは私の親じゃないし)」というシンプルな理由で、むしろ、ある日突然にそう呼び始める人の心理の方がよく分からない。
では、私が義両親のことをなんと呼んでいるかといえば、出会った当初はシンプルに名前で呼び捨てにしていた。
義父の名が仮に「太郎(仮名)」だったとして「太郎」と呼んでいた。義母に対しては、直接的に呼びかける機会がなかったため声に出してはいなかったけれど、心の中では同様に「花子(仮名)」と呼んでいた。(旦那さんと義母の話をするときには実際にも「花子」と呼んでいたし、今もそう呼んでいる)
理由としては、これは義両親に限らず、友達など誰かの両親と接する機会があった時にもそうしていることなのだけど、基本的には紹介者が両親のことをどう呼んでいるかを見て、そこに乗っかるようにしている。例えば友達が自分の母親のことを「ひろこ」と言っていた時は、私も「ひろこ」とか「ひろぴー」と呼んでいた。
そういう意味で、旦那さんが両親のことを私に話す際に「太郎」「花子」と呼んでいたため、私もそのままその呼び名を活用していたのだけど、義両親に関しては、結婚して1年目の頃に途中で「パパさん」「ママさん」という風に呼び方を変えた。
私に対してのみ使われた新しい呼び名
というのも、よく考えたら義理父というのは義理母の男なわけだから、後からノコノコ現れた女が自分の男に対して親しげに「太郎」などと呼んでいたら、それは複雑な気持ちになるかもしれない、と思ったから。
そう感じたキッカケは、ある時、義実家で過ごしていた際に義理母が「パパさんに、これ渡して~」という感じで「パパさん」という呼び名を使ってきたことがあった。
普段の義母は夫のことをパパともパパさんとも言っておらず、それが私に対してのみ使われた新しい呼び名だったことから「パパさんと呼んでほしい、ということかな?」と推測して、その日からパパさんと呼ぶことにした。
ただ、義父に直接呼びかける時は「パパ」と呼んでいる。「太郎」呼ばわりしても全く嫌がっていなかったくらいだから、義父自体はそのことを「馴れ馴れしすぎる」と感じていないのだろうし、どちらかといえば距離が近い方が嬉しそうにしている印象があるから、間をとって「パパ」を選んだ。
ちなみに私は、義母からは「美咲ちゃん」と呼ばれていて、義父からは「下田美咲」とフルネームで呼ばれている。けっこう謎ではあるけれど、このパターンは意外とたまにあって、10年来の親友の1人も私のことを「下田美咲」と呼んでいる。そういう存在感なのかもしれない。
一気に仲良くなりたいときには
さて、私の中の「名前の呼び方論」の話をすると、名前の呼び方に関しては”仲良くなりたい距離”によって決めるのがいいと思っている。
たとえば「まるで実の娘のように可愛がってほしい」と思うのであれば「お父さん!」「お母さん!」「パパ!」「ママ!」と言えばいいと思っていて、実際、結婚前に友達の実家によく遊びに行っていた頃は、その手法を使って友達の両親と距離を縮めまくっていた。
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